2022年の中旬から話題になりはじめた生成AIが日常に浸透し、丸3年が経過しました。
キーマケLab ではこれまでにも、生成AI と広告、マーケティングを絡めた調査結果を公開、議論等してきました。

今回はNewsPicksにて、 生成AIに関する最新情報を、素早く・わかりやすく・実践的に紹介している「IKIGAI lab.」と共同で、日本在住で3年以上のマーケティング関連業務の経験がある会社員300名を対象に、生成AIツールの利用とWebマーケターの意識変化に関する調査を実施いたしました。
本日はその結果についてご紹介いたします。
調査結果(サマリー)
調査結果のサマリーですが、以下の通りです。
- 約6割(64.0%)が生成AIツールの登場で各業務のスピードアップが求められるようになったと回答
- 生成AIツールを日常的に利用する習慣のある220名を対象に、「生成AIツールの利用によって、ご自身の業務スキルの中で低下したと感じるものがあれば教えてください」と質問したところ、最多は「自力で情報を検索する能力」で37.7%、次点は「執筆力」「情報要約力」で28.2%
- 生成AIツールの登場により、ポジティブな影響として約4割(39.0%)が「AIをうまく活用し、自身のキャリアを発展させようと考えるようになった」と回答する一方、ネガティブな影響に関する質問をしたところ、約3割(30.3%)が「長期的人材育成より短期的な生産性向上を優先するようになった」と回答

調査サンプルの性別、年代について
調査サンプル(日本在住で3年以上のマーケティング関連業務の経験がある会社員300名)の性別と年齢ですが、以下の通りです。

Q1. あなたは、業務において生成AIツールをどの程度の頻度、利用していますか
「 あなたは、業務において生成AIツールをどの程度の頻度、利用していますか」という質問に対して、約4割(36.7%)が「ほぼ毎日利用している」と回答。一方、約2割(20.3%)が「利用したことがない」と回答。

Q2. 生成AIの登場により、各業務のスピードアップが求められるようになったと感じますか
「生成AIの登場により、各業務のスピードアップが求められるようになったと感じますか」という質問に対して、30.0%が「とても感じる」34.0%が「やや感じる」と回答。

結果、約6割が生成AIツールの登場で各業務のスピードアップが求められるようになったと感じているという結果に。
Q3. Q2で「とても感じる」「やや感じる」と回答した方にお聞きします。特に、どのような業務でスピードアップを求められるようになったと感じますか(複数回答)
「生成AIの登場により、各業務のスピードアップが求められるようになったと感じますか」という質問に対して、「とても感じる」「やや感じる」と回答した方に「特に、どのような業務でスピードアップを求められるようになったと感じますか」と質問したところ、最多は「企画立案・アイデア出し」で63.5%。次点は「データ分析と改善案の策定」で46.4%、「報告・レポーティング」で44.8%。

Q4. 生成AIツールの利用によって生まれた「時間の使い方」の変化として、最もご自身の状況に近いものを1つお選びください
「生成AIツールの利用によって生まれた「時間の使い方」の変化として、最もご自身の状況に近いものを1つお選びください」という質問に対して、最多は「定型的な作業時間が減り、企画・戦略立案など高付加価値業務の時間が増えた」で22.7%。次点は「クリエイティブな制作・開発により多くの時間を使うようになった」で21.0%。

Q5. Q1で「ほぼ毎日利用している」「週に2~3回程度利用している」「月に数回程度利用している」と回答した方にお聞きします。生成AIツールの利用によって、ご自身の業務スキルの中で低下したと感じるものがあれば教えてください(複数回答)
「あなたは、業務において生成AIツールをどの程度の頻度、利用していますか」という質問に対して、「ほぼ毎日利用している」「週に2~3回程度利用している」「月に数回程度利用している」と回答した方に「生成AIツールの利用によって、ご自身の業務スキルの中で低下したと感じるものがあれば教えてください(複数回答)」と質問したところ、最多は「自力で情報を検索する能力」で37.7%。次点は「執筆力」「情報要約力」で各28.2%。

Q6. 生成AIの登場は、あなた自身のキャリアや、将来のチームに対する長期的な考え方にどのようなポジティブな影響を与えましたか(複数回答)
「生成AIの登場は、あなた自身のキャリアや、将来のチームに対する長期的な考え方にどのようなポジティブな影響を与えましたか(複数回答)」という質問に対して、最多は「AIツールをうまく活用し、自身のキャリアを発展させようと考えるようになった」で39.0%。次点は「自分の知識をAIに学習させ、マネジメントを最適化しようと考えるようになった」で37.7%。

Q7. 生成AIの登場は、あなた自身のキャリアや、将来のチームに対する長期的な考え方にどのようなネガティブな影響を与えましたか(複数回答)
「Q7. 生成AIの登場は、あなた自身のキャリアや、将来のチームに対する長期的な考え方にどのようなネガティブな影響を与えましたか(複数回答)」という質問に対して、最多は「長期的人材育成より短期的な生産性向上を優先するようになった」「特にネガティブな影響はない」で各30.3%。次点は「人間にしかできない業務の定義が曖昧になり、育成方針が定まらなくなった」で23.0%。

調査結果に対する「IKIGAI lab.」名古屋 彩美さんからのコメント
「AIの進化で、人はより本質的な仕事に集中できる」という理想は、実現しているのか。
本調査は、その問いに「半分YES、半分NO」という現実を突きつけています。
私も日々、実感していますが、AIの登場で求められる業務スピードが上がり、検索や執筆、発想力といった従来スキルの一つとされていた能力が低下しています。
問題は、その空いた時間で、戦略やクリエイティブといった「本質的なスキル」が本当に伸びているか?です。
本調査が示唆するのは、その恩恵を享受できるのは、既に高いスキルを持つ人材に限られる可能性です。スキル獲得中の人材は、AIで量をこなすだけで、深い学びの機会を失ってはいないか。
長期的な人材育成より、短期的な生産性を優先すればするほどその格差は広がります。
この「スキルの二極化」こそ、AI時代がもたらす課題かもしれません。
Webマーケティングコンサルタントとしてキャリアをスタートし、ECブランド運営や BtoB SaaS プロダクトのマーケティング職を経験。広告運用からサイト改善、リード獲得戦略まで、デジタルマーケティング領域で幅広い実務経験を積む。
現在は、AI技術のマーケティング活用に注力。1,800人以上が参加する「生成AI×マーケティングコミュニティ」を主催し、マーケター向けの交流会や勉強会を企画・運営。イベントやセミナーでの登壇、生成AIマーケティング講座の講師など。

名古屋 彩美
X @ayami_marketing
「IKIGAI lab.」について
IKIGAI lab.は、実務で手を動かす人がゆるやかにつながり、最新の生成AI活用知見を持ち寄って磨く“自立型コミュニティ”です。
大企業のAI推進担当、経営企画、スタートアップ、個人事業主、教育関係者まで多様なメンバーが参加。
主な活動 ・発信・編集:NewsPicksトピックス「生成AI最前線『IKIGAI lab.』」を中心に、コミュニティで得た実践知を連載・特集として公開。
イベント:生成AI社内推進の会、生成AI大忘年会などのオフラインイベントを多数開催。コミュニティメンバーが登壇し、学び合いの場を創出
IKIGAI Lab.:https://newspicks.com/topics/ikigai-meets-ai/?ref=news-body_10657635
NewsPicks「生成AI最前線「IKIGAI lab.」でも本記事の調査結果について取り上げていただいています。
【実態調査】生成AI利用者が明かす「低下したスキル」TOP3
調査概要
- 調査名:生成AIツールの利用とWebマーケターの意識変化に関する調査結果
- 調査対象:日本在住で3年以上のマーケティング関連業務の経験がある会社員300名
- 調査期間:2025/7/28〜7/29
- 調査機関 :株式会社IDEATECH
本調査結果の取り扱いについて
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(例)「出典:キーマケLab」など
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過去キーマケLabで公開した生成AIに関する調査、アンケート結果について
【調査結果】Web広告運用・制作の現場で生成AIツールを使用しているのは40%|人気の生成AIツール、使用後の体感、今後の期待についても調査
https://kwmlabo.com/research-release/77/
生成AIに対するマーケターの意識調査結果
https://kwmlabo.com/research-release/5261/
AI Overviews(AIによる概要)が従来の自然検索流入や検索広告に及ぼしていると思われる影響に関する調査結果
https://kwmlabo.com/research-release/6106/
検索エンジンおよび生成AIツール、SNSを用いた情報収集に関するアンケート調査結果
https://kwmlabo.com/survey_results/3265/
年代・性別別に見る生成AIツールを用いた情報収集に関するアンケート調査結果
https://kwmlabo.com/survey_results/3661/
AI Overviews(AIによる概要)の利用に関するアンケート結果
https://kwmlabo.com/survey_results/5917/
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担当:川手