Web広告メディア「キーマケLab(キーマケラボ)」を運営するベクトルデジタルは、日本在住で自社のWeb広告の運用およびSEOに携わっているマーケティング担当者325名を対象に、AI Overviews(AIによる概要) が従来の自然検索流入や検索広告におよぼしていると思われる影響に関する調査を実施いたしましたので、その結果を発表いたします。
データは小数点第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります
また今回、調査設問を設計するにあたり、自然検索流入に関する設問に関しては、シンクムーブ株式会社 代表取締役社長 豊藏 翔太氏@shotatykr による協力を受けています。
調査結果(サマリー)
調査結果のサマリーですが、以下の通りです。
- 2025年3月以降、「AI Overviews」の影響で自社のウェブサイトに対して、約6割(61.9%)が自然検索からの流入が減少している、約2割(15.1%)が増加したと回答
- 「AI Overviews の登場以降、自社でSEO施策に割いていたリソースを見直す動きはありますか」という質問に対して、約3割(33.2%)が「既にリソース配分を変更した」と回答。約6割(57.8%)が「見直しを始めている」と回答
- 現在配信している検索広告に関して、「2025年3月以降、AI Overviews の影響を受けていると感じますか」という質問に対して、約7割(72%)が影響を受けていると回答

調査サンプルの性別、年代について
調査サンプルの性別、年代については次のとおりです。

Q1. Google検索で現在表示されるようになった「AI Overviews(AIによる概要)」機能について、あなたはどの程度知っていますか
「Google検索で現在表示されるようになった「AI Overviews(AIによる概要)」機能について、あなたはどの程度知っていますか」という質問に対して、44.9%が「機能の仕組みや影響まで詳しく理解している」と回答、45.2%が「機能の概要を理解している」と回答。

Q2.自社の集客やマーケティング活動全体への影響という観点から、AI Overviews に対するあなた自身の関心度はどの程度ですか
「自社の集客やマーケティング活動全体への影響という観点から、AI Overviews に対するあなた自身の関心度はどの程度ですか」という質問に対して、55.7%が「非常に高い関心がある」と回答、41.2%が「やや関心がある」と回答。

Q3.自社で現在最も重視しているSEO成果指標は何ですか
「自社で現在最も重視しているSEO成果指標は何ですか」という質問に対して、32.9%が「自然検索経由のコンバージョン数(お問い合わせ、購入など)」と回答、26.2%が「特定キーワードの検索順位」と回答。

Q4. 2025年3月以降、「AI Overviews」の影響で、自社のウェブサイトへの自然検索からの流入に変化を感じていますか
「2025年3月以降、AI Overviews の影響で、自社のウェブサイトへの自然検索からの流入に変化を感じていますか」という質問に対して、約6割(61.9%)が減少したと回答、約2割(15.1%)が増加したと回答。

Q5.「AI Overviews」の登場以降、自社でSEO施策に割いていたリソースを見直す動きはありますか
「AI Overviews の登場以降、自社でSEO施策に割いていたリソースを見直す動きはありますか」という質問に対して、約3割(33.2%)が「既にリソース配分を変更した」と回答、約6割が「見直しを始めている」と回答。

Q6.【AI Overviews の登場以降「既にリソース配分を変更した」と回答した方のみに質問】具体的にどのような変更や新たな取り組みを実施・検討していますか(複数回答)
AI Overviews の登場以降「既にリソース配分を変更した」と回答した108名に対して、「具体的にどのような変更や新たな取り組みを実施・検討していますか(複数回答)」と質問したところ、最多は「FAQや構造化データ(FAQPage、HowToなど)の追加・最適化」で57.4%、次点は「自社独自のデータ・一次情報を活用したコンテンツ作成」で46.3%、「見出しやページ構成などの情報設計の見直し」で42.6%

Q7.直近では「AI Overviews」内への広告挿入も一部地域や環境で始まっています。AI Overviewsへの広告挿入に対する関心はどの程度ありますか
「直近では AI Overviews 内への広告挿入も一部地域や環境で始まっています。AI Overviews への広告挿入に対する関心はどの程度ありますか」という質問に対して、40.9%が「非常に高い関心がある」、52.3%が「やや関心がある」と回答。

Q8.自社で現在配信している検索広告について、2025年3月以降、AI Overviews の影響を受けていると感じますか
「自社で現在配信している検索広告について、2025年3月以降、AI Overviews の影響を受けていると感じますか」という質問に対して、約7割(72%)が影響を受けていると回答。

Q9.【検索広告においてAI Overviews の影響を「強く影響を受けている」「やや影響を受けている」と回答した方に質問】具体的にどのような影響を感じていますか(複数回答)
検索広告にてAI Overviews の影響を「強く影響を受けている」「やや影響を受けている」と回答した234名に対して、「具体的にどのような影響を感じていますか(複数回答)」と質問をしたところ、半数以上(66.7%)が「特定語句における広告の表示回数、クリック数の減少」を感じると回答。

Q10.【検索広告において AI Overviews の影響を「強く影響を受けている」「やや影響を受けている」と回答した方に質問】「AI Overviews」による影響を受けているという確信はありますか
検索広告にてAI Overviews の影響を「強く影響を受けている」「やや影響を受けている」と回答した234名に対して、「AI Overviews による影響を受けているという確信はありますか」と質問したところ、約9割(96.2%)が確信があると回答、また選択肢「あまり確信はない」「まったく確信はない」の回答は0%。

調査結果に対するシンクムーブ株式会社 豊藏 翔太氏からのコメント
今回の調査結果は非常に示唆に富んでおり、特に「Q5.AI Overviews の登場以降、SEO施策に割いていたリソースを見直しましたか」 という質問に対し、9割以上の企業がSEO施策のリソース見直しに着手している点が非常に印象的でした
Q6.で「既にリソース変更を完了した企業(33.2%)が新たに取り組む施策としては、「FAQや構造化データの追加・最適化」(57.4%)がトップに挙がり、以下「自社独自のデータ・一次情報を活用したコンテンツ作成」(46.3%)「見出しやページ構成などの情報設計の見直し」(42.6%)「記事の作成・リライト」(40.7%)「SEO以外のチャネルへのリソース強化」(38.0%)と続きました。
いずれの施策も4割前後の高い支持率を得ており、企業が多様な施策を積極的に取り入れている様子がうかがえます。
一方、AI Overviewsにおいて構造化マークアップが必須であるという明確な裏付けは現時点でありません。Google は 2023 年 9 月に FAQ/How-to のリッチリザルト提供を段階的に縮小した過去も踏まえると1、構造化データはコンテンツの構造化や明確な情報提供を通じたAIのクロール効率を高める補助的な役割として捉えるべきでしょう。
これらの結果から、企業はAI Overviewsによる検索環境の変化に対応しつつ、効果的な施策を模索している段階にあるといえます。技術の進化がマーケティング環境を急速に変える中、明確な手法が定まっていない今、市場動向を注視しながら実験を重ねる企業が新たな機会を掴むでしょう。
当面は既存施策を維持しつつ、R&D的な取り組みを並行して進めるバランスが求められる時代だと考えます。
エン・ジャパン株式会社にてIT/Web系の求人広告営業、ITコンサルティング企業でAIやRPAなどのITコンサルタントを経験後、「SEO Japan」を運営するアイオイクス株式会社に入社。
第1局長として大手企業を中心としたWebコンサルティングに携わった後、2024年12月にシンクムーブ株式会社を設立。アイオイクス株式会社フェローを兼務。
AIを活用したインハウスマーケティング共創支援サービスやセミナー、『AI時代のSEO戦略──組織を動かし成果を引き寄せる実務マネジメン』の出版など精力的に情報の発信を続けている。

シンクムーブ株式会社(ThinkMove Inc.)
代表取締役
X @shotatykr
シンクムーブは、「問い」と「共創」を軸に、SEO・生成AI・マーケティング戦略を統合的に支援するインハウスマーケティング共創支援を提供しています。
特に、少人数体制のインハウス支援に強みを持ち、戦略設計から実行支援、組織内の意思決定支援まで一気通貫でサポート。
「人の思考とAIの力を掛け合わせ、“いま動ける最善”を実行し、ビジネスを進化させる。」をミッションに、信頼される発信と対話的なマーケティング支援で社会に新たな価値を届ける会社です。

調査結果に対するキーマケLab 編集長 川手からのコメント
2025年3月以降、広告を配信していても AI Overviews の影響を僅かながらに感じることがあり、下記のようなアンケート調査をクラウドワークスでまず1,200名の方に対して実施しました。
その上で、かなり大きな変化を確認することができたため、競さん(株式会社IDEATECH 取締役)や、今回設問設計の協力やコメントをお願いした豊藏さん(シンクムーブ株式会社 代表取締役)にもご相談の上、日本在住で自社のWeb広告の運用およびSEOに携わっているマーケティング担当者325名を対象に本調査を実施するに至りました。
今回の調査でもっとも意外だった点が、「自社で現在配信している検索広告について、2025年3月以降、AI Overviews の影響を受けていると感じますか」という質問に対して、「強く影響を受けている」が19.7%、「やや影響を受けている」52.3%と想像以上に影響を感じている方が多かったという点です。
自分が想像していた以上に影響を感じている方が多く、また他の質問に対する回答を見る限り、多くの方が AI Overviews に対して関心を持っていることが本調査から明らかになりました。
個人としても、キーマケLab としても、今後のAI Overviews の動向に注目していければと考えています。
株式会社キーワードマーケティング 部長
大学在学中からインターンとして在籍。
リスティング広告や Meta広告などが専門領域。
運用型広告に関する技術ブログ「PPC-LOG」を約6年ほど個人で運営。

キーマケLab 編集長
X @RKawtr
調査概要
- 調査名:AI Overviews が従来の自然検索流入や検索広告に及ぼしていると思われる影響に関する調査結果
- 調査対象:日本在住で自社のWeb広告の運用およびSEOに携わっているマーケティング担当者325名
- 調査期間:2025/5/13~5/14
- 調査機関 :株式会社IDEATECH
本調査結果の取り扱いについて
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担当:川手
- HowTo とよくある質問のリッチリザルトにおける変更 | Google 検索セントラル ブログ | Google for Developers
https://developers.google.com/search/blog/2023/08/howto-faq-changes?hl=ja ↩︎ ↩︎