先日キーマケLab で公開された「Google オプティマイズ廃止後の代替ツール検討、選定状況に関する調査結果」は公開後に X を中心とした SNS で話題となり、結果様々なメディアでも取り上げられるに至りました。
中でも特に、リプレイス先がすでに「見つかった」と回答した204名に対して「使用している Google オプティマイズの代替ツールは何ですか?」と質問した結果、最多が Optimize Next であったという点は多くの方の関心を集めました。
今回の調査結果で初めて Optimize Next の存在を知り、ご興味を持たれた方や、実際に導入された方も多いのではないでしょうか。

今回キーマケLab では、単身で Optimize Next を開発した PROJECT GROUP株式会社 Evangelist の植松 風登(うえまつ かざと)氏に対して、独自に独占ロングインタビューを行いました。
本日はそちらの内容をお届けします。
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PROJECT GROUP株式会社、植松さん個人について

左:株式会社キーワードマーケティング マネージャー 川手 遼一@RKawtr(キーマケLab 編集長)

本日はよろしくお願いします。
まずはじめに、Optimize Next を提供する PROJECT GROUP について、また植松さん個人のご経歴についても伺えればと思います。



よろしくお願いします。
PROJECT GROUP は、データマーケティング領域を中心に幅広く事業を展開している IT 企業です。





いわゆる CDP(カスタマーデータプラットフォーム)というデータ基盤を構築したり、それらのデータを活用して戦略的なコンサルティングを行ったり、高速で AB テストを回して Web サイトを改善したりと、クライアントさんに合わせていろんなサービスを提供させていただいている感じですね。
特に AB テストについては、250以上のサービスにおいて25,000回以上の実績を持っていて、売上改善額で言うと累計100億円以上の成果を上げています。
創業は2012年なんですが、社員の平均年齢は28歳と若く、みんなベンチャーマインドで活気に溢れていますね。





僕個人の話をすると、もともと京都大学で宇宙工学を専攻していたんですが、4年生の時、仲間と宇宙ベンチャーを創業するべく休学して東京に出てきまして。お金がなかったんで PROJECT GROUP で1年ほどインターンをさせてもらっていたんですよ。
その後は、うつになって実家に引きこもったり、もう一度起業しようとして失敗したり、箱根で哲学書を読み漁る居候ニート生活をしたりとまぁ色々あったんですが(苦笑)
ちょうど2年ぐらい前に出戻りという形で PROJECT GROUP へ戻ってきました。





では、カムバック採用でのご入社だったんですね。



はい。そして当時は UA から GA4 への移行期だったんですけど、社内に GA4 の専門家がまだいなかったので「やってくれ」と言われ、まずはそれに着手した感じですね。
そこから技術寄りのことにどんどん詳しくなっていって、ちょうど GA4 や GTM の API の仕様についても一通り理解したタイミングで「 Google オプティマイズが廃止される」というニュースが飛び込んできまして。
自分の知識とスキルセットがあれば代替ツールを作れそうな気がしたので、一旦プロトタイプに落とし込んでみて、それから紆余曲折を経て完成したのが現在の Optimize Next になります。





ありがとうございます。人生色々ありますね(笑)
Evangelist(エヴァンジェリスト)という役職についてもお伺いしたいです。





Evangelist を訳すと「伝道師」になるんですけど、たとえば「AB テストってみんなやるべきだよね」とか「データマーケティングってもっと開かれてるべきだよね」とか「そもそももっとデータを重視しようよ」みたいな空気感を作っていく、それらを社内外に浸透させていくというのが Evangelist としてのミッションです。



Optimize Next の開発も、そういった空気感を作って浸透させるための手段のひとつとして進めたということでしょうか?



おっしゃる通りです。
まぁ実際のところこれは後付けで、当時は「これ開発していいすか?」「よく分からんけどいいんじゃね?」「じゃあやらせてもらいま〜す」みたいなノリでした(笑)



まさにスタートアップという感じですね!ツール開発の実情も聞かせてください。ほぼおひとりで開発されたと伺っていますが、開発には専業で取り組まれたのでしょうか?



いや、当時はクライアントを持ちつつ、あと社内の技術アドバイザーみたいな感じの仕事もしていたので「ここの数値おかしい」とか「この計測なんか変なんだけど」みたいなものは全部僕のほうで見ていまして。





はい?(笑)



なので通常業務をやりつつ、並行して Optimize Next を開発しました。



凄まじいですね(苦笑)
比べるのは恐れ多いですが、自分もほぼひとりでキーマケLab を切り盛りしているので、色々とご苦労された点については共感してしまうところが多いです(苦笑)



いや〜、サービス運営って想像以上に大変ですよね(笑)
けど「ユーザーさんがいるから頑張れる」というか。。
これだけ多くの方に使っていただけているのは、もう本当に開発者冥利に尽きますね。
無料だからこその壁や課題



直近で公開された開発秘話 note、興味深く読ませていただきました。また先日の小川卓さんとの共催ウェビナーも視聴させていただきました。





ありがとうございます。



どちらのコンテンツでも代表の田内さんが言及されていたと思うのですが、Google オプティマイズの廃止によって「AB テストは当たり前のように行う」という文化がなくなってしまうと PROJECT GROUP が関わる領域の市場が小さくなってしまう可能性があるため、それを防ぐことが「中長期的にプラスに作用するだろう」ということで無料でのツール提供に踏み切ったというお話、大変納得させられました。
田内:データを使ってマーケティングしていこうという動きは健在だし、今後伸びていく市場というのは容易に予想できる。とはいえまだまだABテストをうまく使いこなせていない企業もある。さらに「ABテストは有料になります」ってことになると市場が収縮していくのは目に見えているという状況。だったらその中で営業活動を頑張るよりも、ABテストをしやすい環境を作って俺らの市場を拡大していったほうが、どう考えても効率が良いよね。
「無料ABテストツール「Optimize Next」の開発秘話からわかった、無料提供の理由と今後の野望」より引用



ありがとうございます。Optimize Next の公式サイトにも無料提供している理由は細かく書いていますが、やはり「何か裏があるのでは?」と怪しまれてしまうこともありまして…(苦笑)
全くそんなことありませんので、少しでも安心感が伝わると嬉しいです。





今回こういった形でインタビュー記事が公開され、開発者である植松さんの人柄などがわかることで、安心して導入してくださる方も増えると思いますよ(笑)
ただ一方で、背景や開発の裏側をオープンに伝えたとしても、今後さらに導入数を増やしていく中で「無料だからこその壁や課題」があるようにも思ったのですが、いかがでしょうか。



まさにその通りで、無料ゆえの課題はあります。実際に、以前「先着30社限定で30分間の無料相談会」というのを実施して多くのユーザーさんと個別にお話しさせていただいたんですが、そのうち半数近い方から頂いたご要望が「有料プランをつくってくれませんか?」というものでした。



興味深いですね。



そうなんですよ。僕自身にはあまりその感覚がなくて「無料で使えるに越したことはない」と思っていました。
でも意外とそうではないケースも多くて、例えば「稟議が通らないから有料である程度保証されているプランがあると助かります」みたいな声を多数頂いたんです。そのため現在、急ピッチで有料プランの準備を進めているところです。



実際にユーザーの声を聞いてみないと分からないこともあるんですね。



はい、身に染みてそう感じましたね。なので無料相談会を開催したのは大正解でした。
有料プランで実装予定の機能やサービスについて



ご準備されているという有料プランについて、色々とお伺いしたいです。公式サイトでは「基本的なABテスト機能が有料化することはありません」と説明されていますよね。
基本的なABテスト機能が有料化することはありません。ハイレベルなWebマーケターのみなさまのために、効率的なABテスト運用を可能にする便利な機能が満載の有料プランをご用意しています。
「Optimize Next」より引用



では、有料プランにはどのような機能やサービスが追加されるのでしょうか?



あくまで現時点での構想にはなるのですが、主要なものは2つです。
ひとつは「使っているだけで最強マーケターの思考が身につく」機能です。





いきなりすごそうですね。



まず前提として、AB テストは手段であり目的ではありません。目的はあくまで仮説の検証なんですよね。
AB テストツールってどうしても「まずは施策を新規作成」みたいになりがちなんですけど、本当はその前に猛烈な思考があるはず、というかあるべきなんです。
なので、その「思考の流れ」をそのままツールの内部に組み込んでしまおう、と考えています。具体的には、まず KPI ツリーを作成し、各 KPI の抱える課題に対して解決策(仮説)を立て、その仮説に基づいて AB テストの施策を立案する、という流れですね。





こういうロジカルシンキングって一見すると難しそうですが、フレームワーク化して自然な形でツール内に組み込んでしまうことで、「使っているうちに気付けば効率的な AB テスト設計ができている」という状態を実現できるはずです。



もはや単なる AB テストツールの域を超えちゃってますね(笑)



さらに、終了したテストには「考察」を記入することもできるようになります。数値として出てくるものは「結果」であって、本当はその先が重要なんですよね。
具体的には「なぜこの数値が改善したのか」というような、結果に対する解釈の部分です。
理科の実験レポートにも、必ず最後に「考察」を書かなきゃいけないっていうルールがあったじゃないですか。



懐かしいですね。



AB テストも同じで、考察こそが醍醐味なんですよね。どんなテストからも必ず学びが得られるし、もっと言うと「展開案」として新たな AB テストに繋げられるとベストです。
1つの AB テストから得られる示唆はすごく多いので、「結果が出たからハイ終わり」ではもったいないです。
「What to optimize next?(次はどこを改善しようか?)」という姿勢が大切なんです。



こんな形でツール名の伏線回収が…!





長くなっちゃいましたが、この機能のメリットはまだありまして。「このテストは何を検証するためのものか」「どの KPI に紐付いているのか」「どのテストからの展開案か」というのが一目で分かるので、実施した AB テストを一元管理するのがすごく楽になるんですよね。
というのも、事前に僕たちのクライアントに 色々とヒアリングをしたのですが、施策の管理について尋ねたところ「きちんと管理できてません」という回答が非常に多くてですね。



それは確か、note でも触れられていましたよね。
管理されていたとしても人によって形式が違ったり、細かいものは漏れていたり、なぜか几帳面な社外の広告代理店担当者は持っていたり(苦笑)
あとは関係者の脳内にはなんとなく存在している…というパターンも多いんじゃないかと。
事業会社側で担当者変更時にしっかりと引き継がれないケースもありますよね。
植松:僕も事前に自社のクライアント20社くらいにアンケートを取ったんですけど、ちゃんとマーケティング施策の検証データを管理しているところってほとんどなかったんですよね。
平野:確かに自分も肌感覚ではあったけど、きっちり管理しているところは少なかったね。
植松:担当者の頭の中にしか残っていないとかも多いんですよね。あとはデータは残しているけど、Googleドライブとかバックログ、Slackとかのチャッ
トツール上とか保管先が分散していたり。平野:あるあるだなぁ。しっかりマーケティングを行っている企業ほど属人的な管理の方法だったりするよね。
「無料ABテストツール「Optimize Next」の開発秘話からわかった、無料提供の理由と今後の野望」より引用



前提条件が変わっていないのに担当者が変わるたびに同じ AB テストを繰り返したりとか、そういう無駄なことをなくしたいんですよね。
PROJECT GROUP のミッションは「非合理を廃絶する」ことなので、「合理」の極みを追求したツールを目指しています。





有料プランでの提供内容のもうひとつは、CS チームによるお問合せ対応のフルサポートです。
背景として、現状かなり多くのお問合せが来ていて、ちょっとパンクしそうなんです(苦笑)
特に直近はキーマケLab に取り上げられた影響もあってですね…





そんなに影響が出るとは思わず、
拍車をかけてしまい失礼しました(苦笑)



いえいえ、嬉しい悲鳴です(笑)ただ既に対応が追いつかないぐらいお問合せをいただいているので、現状のサポート窓口はいずれ閉鎖して、有料プランの特典として組み込む方針で考えています。
とはいえ「無料ユーザーは自力で頑張ってください」というのもやりたくないので、代案を2つ用意しています。
ひとつはヘルプページの強化で、現状でもそこそこ整えてはいるんですが、さらにコンテンツを充実させていく予定です。
もうひとつは公式 Discord コミュニティの開設です。Google のサービスにはそれぞれヘルプコミュニティがありますが、あれと同じようなことができればな、と。
さらに言えば「Web マーケターが集まる場」として活性化したら嬉しいと思っていまして、Optimize Next に関する質問だけでなく、 AB テスト事例とか有益情報のシェア、雑談なんかも活発にされたらいいですね。
その上で、有料プランをお申し込みいただいた方にはもっと距離の近いフルサポートを提供できればと考えています。
有料プランの展開のタイミングと価格帯



これは個人の勝手な見解ですが、有料プランを追加するタイミングってかなり難しいように思うんです。





例えば映画『ソーシャル・ネットワーク』では、「広告機能を実装したい」という主張に対して、ジャスティン・ティンバーレイク演じるショーン・パーカーが「まだ今は良くないと思う。“ザ・フェイスブック”はクールだ。広告はクールじゃない。パーティーを11時でお開きにするな。まだこの先どうなるかわからない。成長の勢いを止めるべきじゃない」と諭すシーンがあります。
注:『ソーシャル・ネットワーク』はノンフィクション作品ではなく、当事者であるマーク・ザッカーバーグ自身も「事実と異なる」などとコメントしている映画作品になります。ご注意ください。



有名なシーンですよね。



BtoC における広告と BtoB における有料プラン、という違いがあるとはいえ、シーンとしては似ているように感じていたんですよね。
有料プランが追加されることで、もしかしたら「Optimize Next は素晴らしいツールだ」と純粋に利用したり広めてくれたりしている人の動きは鈍るかもしれない。
まさに「パーティーが11時でお開きになってしまう」リスクがあります。
その上でお伺いしますが、有料プランの展開はいつ頃を予定されているのでしょうか?



早ければ今月、遅くとも3月には有料プランを展開したいと考えています。
この時期の是非については、まさにご指摘いただいた通りでして、僕たちもすごく悩んでいました。ただ、それでもこのタイミングで有料プランをやろうと決めたのは、実は先日のキーマケLab の記事が決め手となったんですよね。



そうだったんですか。



やはり「Google オプティマイズの代替ツールとして最も利用されている」という調査結果がはっきり出たというのと、加えてあの記事がかなり拡散されたことで「Optimize Next は無料で使える」という事実が多くの方に認知されたであろうというのが大きかったです。





それは確かに合理的なご判断ですね。
有料プランの価格帯についてもお伺いしたいです。



まだ確定していないのですが、3プランほど展開する予定でして、最もリーズナブルなものは月額数千円から利用できるようにしたいと考えています。
よくある形式ですが、プランによって利用できる機能の範囲が変わるイメージですね。
個人やスタートアップ向け、中小企業向け、エンタープライズ向けというように、ターゲットごとに必要とされる機能を想定してプラン設計を進めています。
また、さらにその上に位置付ける形で、弊社がもともと得意としているサイト改善コンサルティングやAB テスト実施代行のプランを用意することで、あらゆるニーズに応えられるようにするという計画もあります。
実は「コンサルティングもやってくれませんか?」というお問合せを多数頂いているので、そちらもプランのひとつとしてご提供できれば、と考えています。
追記:公開されている有料プランの種類や概要、価格については、公式 Discord コミュニティ「オプネク公式コミュニティ」内でのみ案内されています。
現段階での利用状況や利用者について



Optimize Next の特徴のひとつに、「アクセスの多いサイトでも制限がなく無料で利用できる」という点があるかと思います。
アクセスの多いサイトでも、制限なく無料でご利用いただけます。
「Optimize Next」より引用



そうですね。



すでに1,400以上(2024年2月執筆当時)の Web サイトで導入されているとのことですが、その中には有名なものもありますか?



はい、すでに上場企業の Web サイトや、日本では誰もが知っているような大規模サービスのサイトでも導入いただいております。



ありがとうございます。当初開発前に想定されていた利用者像と、現状とでの乖離があれば伺いたいです。



まず明確にターゲットとしていたのは、いわゆる「Google オプティマイズ難民」の方々ですね。
今回の調査結果でも分かりましたが、実際にユーザーさんに話を聞いたり、X での投稿を見たりしていても、そこは一定達成できたのかなと思っています。





一方で、意外と「これから AB テスト始めます」みたいな人も多いんですよ。



そうなんですか。



実際に無料相談会でも「まだやったことないんですけど、これからやりたくて…」という話をよく耳にしました。
これは仮説なんですけど、Google オプティマイズ廃止に伴って、AB テストツールを提供している各社が広告を増やしたりキャンペーンやウェビナーに注力したりしていたじゃないですか。



そうでしたね。



その影響で「うちも AB テストをやってみよう」となり、最終的に Optimize Next を見つけてくださったという方も多いんじゃないかと推測しています。



確かに、そういう人に Optimize Next はうってつけのツールかもしれませんね。逆に、今後アプローチしていきたい利用者像のようなものもありますか?



「既に有料の AB テストツールを利用されている方」ですね。
ここは誤解のないように明言しておきたいんですが、有料ツールは機能が豊富だったりサポートが充実していたりと、有料である理由がちゃんとあります。
ただその一方で、「きちんと機能を使いこなせていない」「同じことは無料の Optimize Next でも再現できる」というケースも少なからずあるのではないかと思っています。
また大規模サイトの場合だと、PV 数に応じた従量課金では費用対効果が合わずに AB テストを諦めてしまっている、というケースもあるかもしれません。
そのような方々がもし Optimize Next に乗り換えてくださったら、必要十分な機能の中でシンプルに AB テストを実施できるようになったり、これまでツール利用料にかけていた予算を AB テストのクリエイティブ作成などもっと根幹となる部分にアロケーションできるようになったりと、ポジティブな影響も出てくるはずなんですよね。



公式サイトにも「(ABテストの実施において)発生するコストは最小限であるべき」とありますもんね。個人的にも、その方が理にかなっているように思います。
したがって、そこに発生するコストは最小限であるべきです。
「Optimize Next」より引用
キーマケLabの調査結果に対する所感



今回キーマケLab で行った調査では、Google オプティマイズ利用経験者527名のうち、約半数(45.7%)が代替ツールについて「探したが見つかっていない」と回答したという結果が出ています。





記事内にもコメントを頂きましたが、改めてこの結果についてどのように受け止められていますか?



率直に言うと、想定よりずっと多くて驚きました。
「まだそれだけ伸びしろがあるのか」とポジティブに捉えている反面、「もっと知られる努力をしないといけないな」とリーチ不足への課題も感じています。





ありがとうございます。
一方で、すでにリプレイス先を見つけた204名に「使用しているGoogle オプティマイズの代替ツールは何ですか?」と尋ねたところ、Optimize Next は48.5%で最多の回答となりました。





8月にドメインを取得して9月に β 版を一般公開、そこから11月の正式版公開を経て、たった数カ月で既に1,400以上(2024年2月執筆当時)のサイトに導入されてるという事実から、まさに Optimize Next は今飛ぶ鳥を落とす勢いかと思うのですが、そのあたり含めどのように受け止められましたか?



まず開発者の心情としては、シンプルにとてもうれしかったです。
X などの SNS 上では Optimize Next について言及している方も多かったので、薄々は「既存のツールともいい勝負ができているのでは?」と思っていましたが、実態は分かっていませんでした。
なので、今回こうやってデータとして出てきたものを見て、「相対的に見てもちゃんと使われているんだ」っていうのが実感として得られたのは大きかったです。
指名検索数、導入サイト数は数倍に



今回キーマケLab では調査結果を1月30日に公開しましたが、直後から X でも多くの方が関心をもって拡散してくださったほか、早速翌日から複数のメディアで編集記事も公開されました。
その反響として、数値に現れたものはありましたか?



大きく分けて2つの数値で変化が見られました。
ひとつは「指名検索数」の変化です。
記事公開の前後で比較すると、指名検索数は2倍以上に増えています。



え、そんなにですか?



はい。



もともとの数が10件とか20件とかそういう…(苦笑)



いえいえ、そんなことなく(笑)直近1週間で300件程度だった指名検索数は、調査結果公開後初週は700件近くまで増えました。





調査結果を公開したのは1月30日ですよね。
そこからシンプルに指名検索数だけが増えて、実際の導入サイト数は…とかそういうことなんでしょうか。
物珍しさに「どんなものかな」と指名検索する人も多いと思うのですが。





いえ、そうでもないんですよ。もうひとつの数値がその「導入サイト数」の変化なんですが、記事公開以降は導入サイト数が1日あたり1.5〜2倍になっておりまして。



!?





もともと直近3週間で、平均1週間あたり65件ほど導入されていて、直近では133件とそれの2倍以上に増えています。



調査リリース公開から一定期間以上経過しています。
「増えている」ということは、効果が持続しているということでしょうか。



さすがに初動ほどの効果はありませんが、一定持続していますね。



Optimize Next を広めようと意図して調査結果を公開したわけでは全くないのですが、図らずともベクトルが掲げるビジョンである「いいモノを世の中に広め人々を幸せに」を自然とキーマケLab を通じて体現することができよかったです。
いいモノを世の中に広め人々を幸せに
「ビジョン – 株式会社ベクトル」より引用
ユーザーの声をどのようにサービスに反映させていくか



少し話がそれますが、PROJECT GROUP のホームページには
「妥協なく、最高を目指す」という一文がありますよね。
妥協なく、最高を目指す、追求する意思こそが「覚悟」足り得る。
「PROJECT GROUP」より引用



開発秘話 note にも、ユーザーからの声をもとにアップデートを積み重ねているというお話がありました。
植松:ここ最近はずっと、マイナーアップデートの積み重ねって感じですね。割とユーザーさんからツールの仕様について質問を頂くことも多いんですけど、その対応をしていると「こうすればもっと分かりやすくなるな」っていうのが見えてくるわけで。そこから生まれたアップデートがだいたい週に1〜2件あったりします。
「無料ABテストツール「Optimize Next」の開発秘話からわかった、無料提供の理由と今後の野望」より引用



その中でも特に印象に残っているユーザーの声、出来事があれば教えてください。



一番印象に残っているのは、β 版公開の数時間後に届いたメールですね。おそらくエンジニアの方だと思うんですけど、エラーメッセージを添えて「こういうバグがあります」と教えてくださって、本当に助かりました。
そもそもそんなバグを残したまま公開してしまったのが猛省ポイントなのですが(汗)





でもいいですね。さっそく使われ、そして愛されてますね。



もちろん β 版なのでバグが残っていることは覚悟していましたが、想定以上に早いスピードで指摘が入って、めちゃめちゃありがたくて嬉しかったです。そしてその時に、「このサービスは絶対に跳ねるな」と確信しました。ただの直感ですが(笑)



とても良いエピソードですね。自分もキーマケLab の構築ではひとりで手を動かすことが多かったのですが、実際に公開したら速攻で同業者の方から「ここの記述変ですよー」みたいなご連絡を複数頂き、ありがたかったです。自分じゃチェックしきれないんですよね。





すごく分かります。あと、AB テストに慣れてしまっている僕たちだけでは、不慣れな方が困惑してしまうポイントになかなか気づけなかったりするので、そういった点の改善にもユーザーさんのリアルな声がかなり役立っています。
今でも平均して週に1件は何かしらのアップデートを加えていますね。



とても無料のツールとは思えない最適化っぷりですね(笑)



「現状維持は退化と同じ」というのが僕の座右の銘なんです。利用される方のレベルもどんどん上がっていくはずなので、それに応じたアップデートを今後も続けていかないと、ユーザー目線では「退化」していることになると思っていて。
なので、少なくとも当分は「これでもう完全体です」という状態にはならないはずです。「妥協なく、最高を目指す」ってそういうことなのかなって。


今後利用者を増やしていくための取り組みについて



調査結果の記事に頂いたコメントの中に、「広告などは展開していない」と書かれていましたよね。
無料で提供しているツールということもあり広告などは展開していないので、ユーザーのみなさんの口コミによる部分が大きいのかなと推察しております。
「Google オプティマイズ廃止後の代替ツール検討、選定状況に関する調査結果」より引用



有料プランを追加されるとのことですが、今後は広告展開や他の取り組みなども考えられているのでしょうか?





広告については未定ですが、「これはやりたいな」と思っているのが、導入企業へのインタビュー記事の公開です。
先ほどもお話しした通り、すでに上場企業や大規模サービスで導入されているケースもあるので、そういった事例がオープンになっていればツールへの安心感も増すはずだと考えています。
企業さんとしても「本腰を入れて Web サイト改善に取り組んでいます」とアピールしていくことは、人材採用など様々な面でプラスに働くはずなので、Win-Win な関係が築けるのではないかな、と。
あとは個人的に、有名なサイトでどのような使われ方をしているのか気になるというのもありますが(笑)



それは自分も気になるのでぜひお願いします(笑)
「データマーケティングにおける健全なインフラ構築」をどう実現するか



Optimize Next のサイトによると、「データマーケティングにおける健全なインフラ構築」をゴールとされていますよね。
「ABテストを、民主化する。」というミッションのもと、データマーケティングにおける健全なインフラ構築を目指しています。
「Optimize Next」より引用



おっしゃる通りです。



これは個人の見解ですが、「AB テストツールを無料で提供」という時点ですでに100点満点で60点くらいのところまでは来ているように感じています。そうなった時にあと40点、どのように埋めていこうとお考えですか?





そうですね。まず「誰でも無料で AB テストを実施できる」という状態はつくれたので、ある程度は達成されたと考えています。
「じゃああとは何が足りないんですか」というと、さっきの話とちょっと被るんですけど、ロジカルシンキングに基づいた効率的な施策立案の方法とか、AB テスト結果から考察を経て展開案に繋げるノウハウとか、そういった部分までもインフラとして提供していく必要があるんですよね。
世の中のあらゆるマーケターがそういった思考や技術にアクセスできる状況になってはじめて、「データマーケティングにおける健全なインフラ構築」が真の意味で達成されると考えています。





素晴らしい思想ですね。ただ一方で気になったんですが、PROJECT GROUP はまさにその領域を本業として取り組まれていますよね。本来クライアントになりうるはずの皆さんにノウハウを全部提供してしまって大丈夫なのでしょうか?



確かに矛盾しているようにも聞こえるんですが、僕らが提供できる価値の本質ってノウハウそのものではなく、圧倒的な経験値とか、データ分析の精度とか、爆速のスピード感とか、そういった部分なんですよ。うちのコンサルタントは全員プロのグロースハッカーとしてそこに誇りを持っています。
なので「インフラとしてノウハウを提供すること」と「コンサルティングで価値を発揮すること」は全く別物なんですよね。
例えるなら、三つ星レストランのシェフの方が YouTube にレシピ動画を公開されていることってあるじゃないですか。動画の通りにやれば誰でもある程度シェフの味を再現することができて、世の中の料理のレベルも上がるかもしれない。でもそれでそのお店にお客さんが来なくなるなんてことはないですよね。要はこれと似たような構造です。
ABテストに対する世間の空気感とどう向き合うか



今回の調査では、Google オプティマイズ廃止後、代替ツールを「探したが見つかっていない」と回答した約半数の方に対して、「代替ツールを探す上で悩んでいること」を尋ねたところ、「導入や実施にコストがかかる」「導入や利用開始の手続きに手間がかかる」という回答が上位に並びました。





この結果に対する個人的な解釈としては、「AB テストにお金も時間もかけられない」という現場のリアルな意思が見え隠れしているんじゃないかと思いまして。



なるほど。



率直に言うと、「多くの企業において AB テストの優先順位は低い」のではないかと感じたんですよね。
開発秘話 note の中にも、 Google オプティマイズ廃止に伴い「AB テスト自体やめるとかいう企業も出てきそう」という発言がありましたが、そういった空気感を自分も感じています。
平野:そうだね。ABテスト自体やめるとかいう企業も出てきそう。
「無料ABテストツール「Optimize Next」の開発秘話からわかった、無料提供の理由と今後の野望」より引用



そんな現状の「AB テストに対する世間の空気感」について、どのように思われていますか?



これは実際、僕も「あるな」とは思っています。どちらかと言えば、「AB テストの重要性は理解している」ものの、ほかに色々とやらなければならないものが山積みで「後回しにしている」という企業が多いんじゃないかと。
なので、まずは「AB テストは気軽で簡単」というイメージを作って発信していきたいですね。





実際に Optimize Next で設定してもらうとわかると思うんですけど、エンジニアじゃなくてもノーコードでポチポチっとテストを実装できちゃうんですよ。
「難しそうだな」とか「運用が大変そう」みたいなネガティブイメージが先行しているところもあると思うんですけど、そこは僕たちが崩していきたいです。



そもそも「これから AB テスト始めます」という方も一定数いらっしゃることからも分かる通り、Optimize Next によって、これから AB テストの価値を知って AB テストに目覚める個人や企業も出てきそうですよね。
Optimize Next は今後、映画『マトリックス』に出てくる「赤い薬と青い薬」の「赤い薬」のように、今後多くの人に選択や決断を迫る存在になるかもしれません。
映画『マトリックス』の序盤で、主人公であるネオは、反体制派のリーダーであるモーフィアスから、赤い薬と青い薬のどちらを飲むかを迫られる。モーフィアスはこう説明する。
「青い薬を飲めば… 物語はそこで終わりだ。自分のベッドの上で目覚めて、そこからは自分が信じたいものを信じればいい。赤い薬を飲めば… 不思議の国にとどまることができる。このウサギの穴がどこまで深いのか見せてやろう」。
赤い薬は、この時のネオにとっては知りようもない不確かな未来を象徴している。一方で青い薬を飲めば、ネオには甘美な監獄生活が約束されていたはずである。マトリックスによるシミュレーテッド・リアリティの世界で、何かに渇望することも恐怖におびえることもない、一定の制約はありつつも、満ち足りて、しかし真実からは隔絶された世界に戻ることができただろう。結局ネオは赤い薬を飲み、機械が作り出した夢の中から抜け出して現実の世界に戻る。ただし「現実の世界」でネオは、夢の中よりもつらく困難な人生を生きなければならなくなる。
引用元:赤い薬と青い薬 – Wikipedia
仕組みを公開するメリットとリスク



開発秘話 note の中で「Google オプティマイズの正体は GTM なのではないか」と植松さんが言及されていたのを見て「たしかにそうだ…!!!」と思いました(笑)
植松:「オプティマイズって正体はGTMなんじゃね?」っていう。
「無料ABテストツール「Optimize Next」の開発秘話からわかった、無料提供の理由と今後の野望」より引用



(笑)



「ああ、だからサーバーレスで無料提供を実現できているのか」と非常に納得できたのは良かったんですが、そもそもどうして、あえて「手品の種明かし」のようなことをされているんですか?





これはリリースの前から決めていたんですが、「無料で使える理由」は絶対に説明しておかなければ、というのがありました。
「なんで無料なの?」「何か裏があるのでは?」という反応は容易に想定できたので、先手を打っておきたかったんです。





そのためには、「こういう理由で無料提供しています」というミッション的な側面と、「こういう理由で無料提供が可能になっています」という技術的な側面の、両方からの説明が必要でした。
現状でさえ怪しまれることはあるので、もし片方でも欠けていたら悲惨なことになっていた気がします(笑)



たしかに。一企業として Google ほどの社会的信頼があるわけではない以上、無料だと色々と勘ぐられて当然ですよね。
仕組みが分からなければ、セキュリティ面で不安を感じる企業も少なくないかと。



そうなんです。セキュリティ面については検証に検証を重ねて十二分に配慮した上で設計しているので、安心して使っていただきたいですね。



仕組みを公開しているメリットは理解できましたが、やはり一方で「手品の種明かし」にはリスクも伴うはずです。
例えば、GTM と一蓮托生になっていることが Optimize Next の致命的な弱点として認識されたり。
また、他社が同様のツールを開発して追従してくるのを手助けすることにもなりかねませんよね?





まず、GTM と一蓮托生だという点ですが、それに関してはおっしゃる通りです。
なので、、仮に「GTM が無くなります」とか「API の利用を制限します」ということになると、ちょっと「うっ…」となりますね。可能性は低いと思いますが。



やっぱりそうですよね。さすがに GTM がなくなることは考えにくいですが、過去の彼らのプロダクトに対する姿勢から、大きな仕様変更を加えてくることは十分ありえるかと思っていて、そういった点では Optimize Next にも常にリスクが付きまといますよね。



でも大丈夫です。もし仮に GTM が使えなくなるようなことがあれば、GTM をリプレイスにいくので(笑)



その発想はなかった(笑)



次に、他社が追従してくるかもしれないという点についてですが、これはむしろ全然ウェルカムです。
新規参入があれば僕らにとっても刺激になりますし、そういった動きによって市場全体が活性化していくのが一番良いと思っています。





もちろん、より多くの方にご利用いただけるよう今後も取り組んでいくのは当然なんですが、そもそも「市場を独占したい」とかそういうのは全然ないんですよね。
冒頭でもお話しした通り、Optimize Next はあくまでも僕が Evangelist としてのミッションを実現するための手段のひとつなので、そもそも競合とバチバチやるようなものではないんです(笑)



そもそも「ABテストを、民主化する。」というミッションのもとで「データマーケティングにおける健全なインフラ構築」をゴールに掲げている Optimize Next が、市場の独占を好むというのも変な話ですよね。
最後に



キーマケLab の主な読者層は、 Web 広告に携わる方や事業会社のマーケティング担当者の方などです。仕事柄、日々何かしらの AB テストに取り組まれているような方たちに向けて、Optimize Next の開発者として何かメッセージをいただければ幸いです。



そうですね。ABテストは「やれば成果が出る」というようなものではなく、自信のあった施策が負けてしまうことも往々にしてあります。
そんなとき、「自分はマーケターとしてのセンスがないんじゃないか」などとは決して思わないでください。プロである僕たちでも、想定外のテスト結果に驚くことはよくあります。
そして、負けたテストからこそ多くの示唆を得られるので、ぜひ詳しくデータを分析して考察を書いてみてください。次の施策に繋げることができたら、それは「負け」ではなくなります。





また、 Web サイトの AB テストをまだやったことがないという方もいると思うんですが、環境さえ許すならば、ぜひお気軽にトライしてみてほしいです。
もし「難しそう」というイメージのせいで踏みとどまっているのなら、30分でいいので Optimize Next を触ってみてください。簡単なテストであれば実装が完了しているはずです。(もしどこかで詰まったのなら、公式 Discord コミュニティで助けを求めてみてください!)



AB テストを通して、皆さんのビジネスがさらに成長していくことを願っています。
そして、 Optimize Next がその一助となれば幸いです。



正直、自分も植松さんとお話しするまで「AB テスト」というものについてここまで深く考えたことはなかったですし、こんなにも AB テストに情熱をもって取り組んでいる方たちが存在するとは知らなかったので、お話をお聞きして色々と刺激を受け取りました。
本日はありがとうございました。



僕もお話しできて楽しかったです! ありがとうございました。


執筆・編集・企画・インタビュアー:川手 遼一
インタビュー協力:植松 風登
撮影:コウノタカユキ(Taka)