開発もできる外部CMOとして ベクトル 加賀谷さんに聞く

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直近では Chrome のサードパーティ Cookie の段階的廃止を皮切りに、さまざまな広告効果計測ツールや代替手段、MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)に関する話題が絶えません。

しかし、いくらツールを用意しても、そもそもノイズが少ない精度の高いデータを集める仕組みを事業会社内に構築することができなければ、またそれらのツールを駆使することができるだけではなく、時には自社に合わせて調整を実施したり、自社の特性を理解し内製開発ができる人材を確保できなければ、これらは無用の長物となってしまうかもしれません。

本日は10年近く、マーケティング活動に関する開発業務やデータ収集・分析、分析結果をもとにした戦略・戦術を含む、集客のための全体設計を手掛けてきたキャリアを持つ、ベクトルデジタル本部で現在 Data Analytics Manager として活躍する加賀谷 啓太郎氏に、ベクトルデジタル本部の業務内容や取り組み、仕事観について伺った内容をお届けします。

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目次

そもそも「ベクトルデジタル本部」とは?

川手

加賀谷さん含むベクトルデジタル本部の方々と最初に渋谷の焼き鳥屋で会って話をした際に抱いた印象は、「ベクトル内にもこんな業務領域の人たちがいるのか」だったんですよね。

まずは普段の業務内容から、詳しく伺ってもいいですか?

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加賀谷

はい。普段はベクトル内のベクトルデジタル本部で Data Analytics Manager として、広くマーケティング活動の支援を行っています。支援内容には当然、Web 広告の運用も含まれます。

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加賀谷

キーマケさん(株式会社キーワードマーケティングの略称)は「広告運用」に特に強みを持っていると思うんですけど、僕らはもう少し広く、色々見ているような形になりますね。

川手

もともと自分の中では、ベクトル = PR のイメージがめちゃくちゃ強くて、グループジョイン直後ってあんまりそういうことまでグループ内で実行できる人たちがいるイメージがなかったんですけど、初対面の際に業務内容を聞いて「あ、そういう人たちもいるんだ」と思いました。


「マーケティング活動の支援」というと、具体的にはどのようなことを行なっているのでしょうか。

加賀谷

やることは支援する会社によって変わりますし、内容は本当に多岐にわたります。

一言で言えば、「集客全般を見たり全体設計をしたりするような外部 CMO をやりつつ、開発もできる人材として事業会社の中に入り込む」といえばイメージしやすいでしょうか?

川手

開発機能を兼ね備えた外部 CMO でありながら、広告代理店や SEO 会社としての機能も兼ねている…ということでしょうか?

加賀谷

そうですね。例えば新サービスの立ち上げみたいなところから外部 CMO として関わって、もちろん PL 引いたりもしますけど、サービス立ち上げ当初はとにかく全体設計含め、特に「売れる仕組み」を作ります。

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加賀谷

そういったことをやりつつ、技術で解決可能な課題が出てきたら開発し、黙々と対処していきます。

広告運用はせず、そういった業務のみ請け負うこともありますね。

川手

「売れる仕組みを作る」というのはまさに、マーケティングそのものですね。具体的な技術的上の課題って、例えばどういうものがあるんでしょう?

加賀谷

多岐にわたりますが、コンバージョン計測ができないものを無理やり計測できるようにしたりとか、専用のシステムを構築したり、精度が高く、信用できるデータを収集する仕組みを組織内に構築し、それをダッシュボードに流し込んで管理できる体制を設けたり、そういった取り組みが多いです。

川手

自分は以前にクライアントさんが独自 CMS で構築した EC を運営している案件で、Criteo の導入をすることになったんです。ところが独自 CMS と Criteo の相性が良くなくて、タグが公式推奨設定通りに設定しても機能しないことがありました。

川手

当時はまだネット上に Criteo に関するノウハウも全然ないし、ヘルプに確認取っても公式推奨以外の回答が来るわけもなく、結構あちこち奔走していたことがあるんですけど(笑)

加賀谷

(苦笑)

川手

結局その時は技術領域を得意とするメンバーに Criteo のタグを CMS にあわせて書き換えてもらい、打破しました。そういう細かい技術系のこととかも対応されたりする感じなんでしょうか?

加賀谷

はい。まさにそういうマニアックで細かいこともやりますし、あとデータと実数値の乖離解消、施策の数値管理や可視化、膨大な数の購買データを整形して管理できる体制を構築したりとか、そういうのは本当に得意領域ですね。

川手

ぜひ今度困ったことがあったら個別にご相談させてください(笑)

そのスキルはどこで、どのように身に着けたのか?

川手

最近は人も増えてきていますが、自分の中では「ベクトルデジタル本部」に対して少数精鋭なイメージが強くてですね、全員がそういうスキルを生かして、開発データ分析、CMO 的なことを実現できる精鋭の集まりなんでしょうか?

加賀谷

いえ、完全に分業制ですね。

たとえば自分は開発が絡むような技術系・分析系の業務が得意だったりするので、他にも技術系の領域を得意とするメンバーと一緒に、そういった領域を中心に見ています

川手

技術系の能力ってどのタイミングで身に着けました?
もともと高専出身だから理系ですよね?

加賀谷

そうですね。確かに自分は高専出身で理系です。
でも実は専門は電気系(電気科)なんですよね。

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川手

え、プログラミング…全然関係ないですよね?(笑)

加賀谷

そうですね。

プログラミングのスキルを身に着けたきっかけは、卒業研究で OpenCV を用いた画像処理を使った農作物関連の発表をしたんですが、その際に「プログラミングができないと…研究できない」となり…

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加賀谷

そこでC++の勉強とかをはじめた感じです。
なので最初は完全に独学ですね。

川手

思った以上に独学でプログラミングを学んで、それでキャリアビルディングされてきたんですね(笑)

加賀谷

そうですね(笑)

でも卒業制作も今の仕事も似ているところがあるなと思っていて、例えば卒業制作って明確なゴール(発表)があるじゃないですか。

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川手

はい。

加賀谷

卒業制作時に「ゴール(卒業制作を発表)するために何が必要なのか」と考え、そこから逆引きして「プログラミングが必要」となり、その時にプログラミングのスキル、イロハみたいなものは身に着けました。

事業支援もそうで、どんな事業でも「成長させたい」と思う以上は、目標が明確に存在していて、そこに向かっていく上で何が必要かを常に考えます。

「こういう指標を見なきゃいけないよね」とか、逆引きで必要なことが何かを考えて、そのためにいろんな力とか知恵を駆使してやり切る

そういった意味では似ているのかなと。

川手

確かにそうかもしれません。

加賀谷

高専卒業後は大学に行き、在学中に現在のベクトルデジタル本部メンバーとつながって入社しました。

当時は本当に人も少なくて、自分自身マーケティングの知識とかもほぼ皆無だったんです。

その頃に PL やモデリングの考え方を教えてもらったり、セオリーな「売れる仕組み」や全体設計の方法であったりも OJT で教えてもらい、実際に案件を動かしながら覚えていったような形になります。

ただ当時は人が少なかったというのもあって、開発系のことをできる人間がいなかったんですね。

そのため自分はその時点でコードとかも書けたので、そこからは必要に迫られて、自分から技術を身につけていきました。

ノイズの少ないデータを集められる環境を構築したり、開発したり、データ分析したり、そういう風に仕事を進めていって、今があるといったような形になります。

川手

これは自論なんですけど、やっぱり「〇〇が必要だ」という環境に晒された方が、人間ってスキルを効率的に身に着けますよね。

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川手

自然と習得に必死になりますし、先ほどの話でいうところの「ゴール」も明確ですし。

加賀谷

そうですね。自分の場合は少なくともそうでした。あとこの仕事は常々「これが答えだ」というものが無い仕事だなっと思っていて、たとえば媒体社が出している公式ドキュメントの中に自分が探している問いの答えがないケースって結構あるじゃないですか。

川手

はい。

加賀谷

そういう事態に直面した時に「じゃあどうしようか」と自分自身で考えられない。そういう意味でいうと、ある程度は探求心や知的好奇心がある人じゃないと、厳しい仕事なのかなと思っています。

川手

おっしゃる通りだと思います。

探求心、知的好奇心がないと泥臭く動けない

川手

前にもキーマケLabの企画で滝井さんとの対談した時にも触れたんですけど、知的好奇心が高くないとそもそも「あれ、これってどうなってるんだろう」とか思って、数値とか細かく見ていかないですよね

加賀谷

そうですね。

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川手

例えば自分の場合、「講座のお申し込み」がコンバージョンポイントの案件で獲得単価と予算を与えられて「運用してくれ」って言われたら、当然管理画面も見ますけど、やっぱりパソコンやスマホの前にずっといても出来ることは限られるので、実際に講座を申し込んだ人に「なんで申し込んだの」とか「どんな広告見ました?」って聞きに行っちゃいますもん(笑)

参照:40名のコンバージョンユーザーに話を聞き、コンバージョン率を良化させた話

加賀谷

(笑)

川手

仮に数値上は「100件の実コンバージョン」であったとしても、100件の中には100人の人がいて、おのおの何かに駆り立てられてコンバージョンしているわけであって、そのあたりの理由が気になってしまうんですよね。

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川手

だって何か今の戦略や戦術を根底からひっくり返す、市場において圧倒的な強者になれるヒントが眠っているかもしれないじゃないですか

実際に何度もそうやって「これは…」という発見をしたことがありますよ。

意外とカスタマーセントリックなんです(笑)

※…顧客中心主義のこと

加賀谷さんもそういった、いわゆる一次情報収集系のアプローチって通常業務の中でされますか?

加賀谷

そうですね。例えばクリニック系の事例で言えば、店舗のスタッフさんから直接話を伺ったりとか、あと実際にそれを体験してみないとわからないこととかも多いので、基本的にはまずそのサービスをお客さん目線で実際に利用してみるみたいなことは全然ありますね。

川手

やっぱりそうですよね。以前に革製品の案件を運用していたことがあるんですけど、店舗と EC 両方やってる案件だったんで、店舗の人の話を自然と聞いたり接客を受けたりしたくて毎月通ってました。

でも3ヶ月目ぐらいで店員さんも「あれ、この人毎月くるな」って(笑)

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加賀谷

もはやミステリーショッパーですね(笑)

※…覆面調査のこと

川手

でも例えば、接客中に「財布って買い換えに最適な日(一粒万倍日、天赦日)があるんですよ〜来月だと…」とか教えてもらったりして。

加賀谷

なるほど。

川手

「じゃあこれ(天赦日)年に何回かあるから専用バナー作ってもアリだな」とか、ちょっと節操ないかもですけど「天赦日に向けて送料無料セールとかあっても面白いかも」とか。

毎月通ってても、そういう情報1つもらえて施策が当たれば十分リターンは得られますし。

あと例えば検索語句レポートを分析してても、そんな情報は全然出てこない(苦笑)

加賀谷

一次情報集めの醍醐味にはそういったところがありますよね。

あと僕らは加えて、来店系のビジネスだったら店舗に行きますし、店舗周辺の街をぶらぶらして「なんかこういうところに広告掲載できたらいいんじゃないか」みたいな話をしたりとかはよくしますね。

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加賀谷

あとその街に行ってみないとわからないことは意外と多いと思っていて、行けば「オフィス街でもないのにこの時間帯はサラリーマン多いな」とか、そういうエリアの特性とかがわかる。

Google で調べてもそういう情報はインデックスされていないケースはまだまだ多いですよね。

そして意外と、そういうことを事業者側が知らなかったりこともある

川手

知らない場合、大きくわけて2パターンあると思っていて…

1つが特に店舗がたくさんあったり、本部と支部で分かれていたりするようなケース。

僕らは本部の人からの依頼で動いているけど…みたいな感じの時に多いですよね。

あとはもう1つは、意外と地域密着ビジネス。

自分たちはこの地域をよくわかっている」と思っていて、他の地域と比較した際の特性や、地域内で起きている変化に気づいていなかったりする。

加賀谷

そういう気づきを提供し、それをうまく活かせるような戦略や戦術を設計の中に組み込むこともあります。

先ほどお伝えした通り、PL を引いたり専用のシステムを構築したり、そういったこともするんですがそれは全体の業務の半分ぐらいで、もう半分は泥臭い作業の積み重ねだったりします。

まあどちらも重要な仕事であることには変わりありませんが。

川手

おっしゃる通りだと思います。どちらも重要ですよね。事業者側からシステマチックなところも、泥臭いところも、痒いところに手が届く感じで、とても助かると思います。

売れすぎてしまうのも時には考えもの

川手

現実問題として、広告運用していると順調そうに見えても問題が起きている…そんなケースも多いですよね。

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川手

例えば EC の場合、ROAS で運用していると、数値上は順調に見えても、実は一番の稼ぎ頭の商品が物価高で原価が高騰していたりとか、あとは実は直近1年で人手不足になっていたり、人件費がすごく高騰してて..とか。

加賀谷

はい。

川手

そういう話って割とあとになってから出てくることが多いんですけど、全体設計をCMOとして見ているとそういうものも早く察知できて対処出来たり、そもそもそういう事が起こりにくいような状況を最初につくったりするような感じなんでしょうか。

加賀谷

そうですね。販管費や原価はもちろん、ECだと送料とかも結構あがってくると痛かったりするのでそのあたりも当然見ます。

あと売れすぎるとダメだったりするケースもありますので、そういうものとかも見ています

川手

売れすぎるとダメ…具体的にはどんなものがありますか?

加賀谷

労働集約系の…例えば美容系とかで、そもそものキャパシティが決まってるものなんかがその代表例ですね。

加賀谷

もちろん、コンバージョンや獲得単価、ROAS などの目標を追うのは当然だと思います。

でも、例えば広告代理店に属して広告運用する場合、「見れる情報が限られてる」という大前提がまず大抵の場合はあると思うんです。

我々はそこよりももう少し大きな領域で、中長期的にインハウスを支援していく感じなんですよね。

そのため、いろいろなことに気づいて調整したり、あるいはそうならないように対応したり、そういうことをやっています。

川手

過去の経験上、よくわかります。

実は自分も、クライアントが数人でやっている会社の広告運用をしていた際、自分もクライアントさんも「利益最大化」に走りすぎてしまって、結果的にクライアントさんを疲労困憊状態に追い込んでしまったことがあります(苦笑)

加賀谷

(苦笑)

川手

滝井さんのお知り合いだった方なんですが、滝井さんから「久々に⚪︎⚪︎さんと会ったけどだいぶ…なんかあったの?」って聞かれて、広告の投下状況と獲得状況、施策内容を伝えたら「やりすぎだ!」って(苦笑)

加賀谷

(苦笑)

川手

別に薄利多売を仕掛けたとか、そういうのは全然ないんですけど。ちょっと考えられないぐらいの値上げを提案して実施して「さすがにお客さんも減るでしょう」とクライアントさんと一緒に考えていたら、逆に大口のお客さんが続々と増えて忙しくなってしまって。

時流もあったとは思うんですが、今でもすごく反省しています。

加賀谷

「黒字倒産の危機なしに、利益が最大化していればそれでいいか」と言われると、そう単純な話でもないですもんね。

我々が入る際は、お客さんとはそのあたりの話とか、かなり初期の段階で腹割って話すケースが多いんです

川手

はい。

加賀谷

上手くいく場合も「どんなゴールを目指すのか」考えたりとか、最初から事業ビジネスモデル的に違和感ある部分があれば指摘したりとか、とにかく「事業会社の一員」として捉えてくれるぐらいまで親密にコミュニケーションを取ります。

常駐…とまではいかないですけど、内々のミーティングに参加したりとか、普通の会社の CMO が行うことは当たり前のように行います。

川手

結局売れるにせよ売れないにせよ、会社が成長するにせよ、しないにせよ、お客さんが想定していた以上の状況に持っていてしまうと、結局事業そのものに対する意欲を失ってしまったり、事業売却しようかな…となってしまったり、結局僕らにとってもプラスにならないですよね。

加賀谷

まさしくその通りかと。そのために初期段階でしっかりと全体設計をしっかりと行って、お客さんのニーズにあわせて調整していくような形で対応しています。

全体設計の肝

川手

冒頭で話に上がった、「売れる仕組み」や「全体設計」の話を深掘りしたいです。

加賀谷

はい。

川手

やはり全体設計、特に肝となる戦略や戦術は最初にカチッとしたものをするのがベストだと思っているんですが、そのあたりについては、いかがでしょう?

加賀谷

最初期にご相談を頂き入る場合、当然初期から戦略戦術を含む全体設計にも入るので、そのように対応します。

ただ必ずしもそうではないケースもあるというのもありますが…自分は「最初の設計がとにかく運用され続ける」っていうよりかは、変わりゆくものであることを前提に、いかに柔軟性を持たせるかが重要だと思うんです。

世の中ではいろいろな変化が起きますから、その時にどこまで対応できるのかがやはり重要かなと。

川手

以前、とある超絶レッドオーシャン市場にて、限られた予算と人員の環境で、超絶妙なセグメンテーションとターゲティングを、つまりはランチェスター戦略を仕掛けて大成功した事例の話を伺ったと思うのですが…まさにそういう感じでしょうか。

加賀谷

そうですね。それはほんの一例ですが。

そういった市場の変化みたいなものの中で改めてデータ分析を行って、SWOT、 STP 分析をしたうえで、ベーシックな考え方なんですけど「どこを狙うか」を考えて攻めるのはすごく重要なことだと思っています。当然その運営を潤滑にするためのシステム開発であったり、中長期的な経営の支援であったりを僕らで行っていくのですが。

川手

以前に自分もレッドオーシャンでの事例で、過去5年間のコンバージョンユーザーの傾向を分析して「あれ、この市場って実はBtoCではなくて、実はBtoGを狙った方がいいのでは?」となり提案し、さっそく広告の訴求をそれにあわせて変更し、配信し始めたところ実際に売り上げが数倍になった事例があります。特にリスティング広告って特定の語句を検索している人全員にアプローチできるから「この語句で検索している人、全員見込み顧客だー!」ってなりがちかもですけど…

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川手

実は STP 分析をしっかりとして、細かく狙った方が、特に限られた予算や人員、商圏の場合はうまくいくことが多いです。

ただ細かすぎると PMF しないので、そこは書籍『良い戦略、悪い戦略』でいうところの「良い」戦略で(笑)

まずは冷静に「診断」から入る感じで。

加賀谷

どうセグメンテーションしてターゲティングするのか、どうポジショニングするか、そしてそれが当たるのかどうかは部分的には書籍などでも事例ベースで学べますが、やっぱりその過去の経験みたいなものやノウハウが結構物をいう部分もありますから、そこでいうとベクトルデジタル本部には相当ノウハウが溜まっていたりもしますし、僕らは既存顧客のデータ分析みたいなものもできて、そこから最短の最適案を導き出せたりもするので、そういったところがベクトルデジタル本部が全体設計や「売れる仕組み」作りに入る魅力かなと思いますね。

川手

ありがとうございます。よくわかりました。

使えるものは何でも使う

川手

ベクトルデジタル本部の方々の動き方を見ていると、本当に「使えるものは何でも使う」の精神でお仕事をされていて、素晴らしいなと思ってます。

加賀谷

それっていったいどういう意味で(笑)

川手

いえいえ、全然変な意味でなく(笑)

例えば Web 広告の管理画面上の数値だったりを、いい意味であまり重要視していないというか。

例えばコンバージョンデータにしても、もっと精度の高いものの数値をウォッチして、集客が有効に機能しているかどうかを判断しているように思うんです。

加賀谷

そうですね。

それは極論事業者目線で言えば、広告の管理画面の数字よりも実売データの方を見ているので、例えば「コンバージョン1件がついたかついていないか」よりも、「実際に売れたのかどうか」の方が重要ですからね。

管理画面上の数値は広告運用者が広告運用の参考値として見る分でいいと思うんですけど、あれが実数値を綺麗に反映されたものとして扱っても…と正直思っています。

そのため、そういった意味で言うと広告の数値を見ているというよりも、広く、色々見ている感じですね。

川手

管理画面上の数値を参考に運用する、管理画面上の数値をベースに自動最適化がうまく働くようにアカウントを設計する側としては耳が痛いです(汗)

でも実際問題として、「実のところどうなの?」って細かいところまで見ていかないと、わからないことは多いですよね。

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川手

実は先日、お客さんから「コンバージョンの質をあげたい」って言われて困ったことがあったんです。

加賀谷

はい。

川手

話を聞くと、まあそのお客さんのビジネスは訪問ビジネス系で、引っ越し業者みたいに相見積りを取られることが多いビジネスだったんですが。

業界内にあまりよくない業者もいて、例えば格安で見積りして受注し、実際に作業した後に追加請求してくるところがいたりしてですね。

加賀谷

なるほど。

川手

いくら正しく商売をしていても、段違いに見積もりの安いところが出てくれば、お客さんはそこに発注するので受注率が下がってしまうと。そのため「コンバージョンの質を上げたい」といわれてしまって。

加賀谷

はい。

川手

基本的にセグメンテーション、ターゲティングをしっかりと行った上での出来事だったので、管理画面でどうこうするというよりも別のアプローチの方が有効だと思い「相見積り商談時に”これ”もってってください」と言ってですね。

加賀谷

川手

国民生活センターや省庁がその業界で起きている、そういった問題に関して調査した資料、実際どれぐらいのケースでトラブルが起きているかをまとめた第三者による調査資料(商用利用可能なもの)、その他公開情報などを商談時に持っていき、「相見積りされると思いますが、段違いに安いところに依頼すると大変なことになるケースもありますよ」と最後一言添えて差し出してくださいと伝えました。

加賀谷

あーなるほど。

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川手

そしたら翌月に担当者さんから「価格を理由に受注を断られるケースが3分の1以下になりました」と共有を受けました。

結局管理画面上ではそのための調整は一切実施していないのですが、結果的に受注数自体増やすことができました。

加賀谷

いいですね。

川手

自分はその事例から改めて、「管理画面上でできることで現実に与えられる影響はとても限られている」と再認識しましたし、ベクトルデジタル本部の方がやられているような「使えるものは何でも使う」って、まさにそういうアプローチなのかなと思いました。

加賀谷

まさにそういうアプローチや、ちょっと PR っぽいアプローチもベクトルデジタル本部では行いますね。

僕らは実際に、たとえばその資料を相見積もりにもっていく効果みたいなものも数値化してデータにしたり、あとビジネスのスケールが大きくなっていくとそういう細かい戦術の結果を可視化していくのって難しいんですけど、そういうのを数値や可視化ができるように整えたり、みたいなことは結構得意だったりしますね。

川手

結局さっきの例もそうですけど、結局データ化していないと意味ないですよね。

例えば受注率が上がって、その場では「よかったね」となると思うんです。

でも「価格」が理由で、今まで引き受けていなかった仕事を引き受けるようになることによるデメリットもあると思っていて、その取り組みが中長期的な経営にどう影響が出てくるのかとか、そういったものが可視化されるような仕組みが本来必要ですよね。

加賀谷

これは単純に良い悪いという話ではないんですが、そういったポっと出てきたような施策も「あれは効果があったよね」とそのままにするのではなく、いかにロジカルに、例えばデータ化したりして全体設計や戦略戦術に組み込むかみたいなところも大事ですよね。

川手

色々話を伺っていて思ったんですが、そういうきめ細かいところもトータルで一貫して支援してくれるのも、「ベクトルデジタル本部」ならではの魅力ですよね。

最後に

川手

最後に、今の仕事の「面白さ」みたいなものとかも伺いたいなと思って、ベクトルデジタル本部については今日色々話を聞いてより深くどんなことを実行している組織なのかわかったんですけど、加賀谷さんがその中で、データを分析したり、全体設計をしている中で、どんな点に楽しさを感じてお仕事をされているのかを伺いたいです。

加賀谷

仕事の面白さで言うと、常に「答え」が明確ではない中で、決まりきったことばかりではなく、「お客さんのやりたいことを実現するためにどうすればいいか」っていうことを考えて、常に新しいことに挑戦したりできて、その中で毎回新しい発見とか、それによって自分のスキルも磨かれていくので、常にアップデートされていくところとかは、やっぱり一番楽しいポイントかなと思いますね 。

川手

そうですよね。仕事を続けていく中で、当然自分自身の強みであるデータ分析、開発領域であったりといった強みは洗練されていきますし、お客さんも HAPPY になっていきますし。

加賀谷

そうですね。ベクトルデジタル本部としてカバーしている領域も広いので、やりたいこと全部できる

その点も面白さを引き立ててくれているポイントです。

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加賀谷

また「やりたいこと全部できる」ことそのものが、お客さんの目標に近づくために必要なことでもあったりすると思うので、なんか決まりきった仕事だけっていうより、やっぱり常にデータ分析をしつつ、お客さんの事業に新しいエッセンスとかも加えていきながら、お客さんと一緒に成長できるっていうところもやっぱり面白いというか、この仕事をしていて、すごく楽しいところですね。

川手

なるほど…業務内容はもちろんですけど、仕事に対する姿勢も含め、色々と勉強になりました。

今日はありがとうございました!

加賀谷

ありがとうございました!

Dialogue_double

執筆・編集・企画・インタビュアー:川手 遼一
インタビュー協力:加賀谷 啓太郎
撮影:コウノタカユキ(Taka)

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