先日キーマケLabでは「広告運用者の副業に関する調査結果」という調査結果を公開しました。
またその際に、調査対象者の年収に関するデータもあわせて公開しました。

そちらについて、運営堂の森野さんから「年収は地域別に見たかった~」というコメントを、毎日堂メルマガにていただきました。
本調査結果は株式会社IDEATECH に調査を依頼し、成果物として納品されたデータを公開したものです。
しかし、キーマケLab では調査実施時にスクリーニング設問(地域や年齢などに関する質問)などの回答データも集計しており、より詳細なデータ公開が可能であるため、早速集計を行いました。
本日は、その集計結果を共有いたします。

本調査は、株式会社IDEATECH(リサピー)による調査結果に基づいたデータを公開しています。公開している個別データは、あくまで全体傾向を補足的にご覧いただくためのものであり、n数の限られたデータやごく一部のセグメントのデータについては、参考程度にご確認いただければ幸いです。
年収と地域
調査対象者に対して、現在居住している都道府県情報の入力を依頼していることもあり、結論集計が可能でした。
しかし、例えば石川県、福井県などのように、そもそもサンプル数が0な地域や、どうしてもサンプル数が少ない県が生じてしまう結果になってしまったため、それぞれの47都道府県を地域別に分け、集計を行いました。
結果は、以下の通りです。


これらの結果から、次のようなことが述べられるのではないでしょうか。
- 300万円未満の少なさ
- 全地域別にみても年収300万円以下は少数(東北4名、関東4名、近畿3名のみ)
- 関東地方への顕著なサンプル回答者の多さと年収レンジの高さ
- 回答者300名のうち、関東地方在住者が130名(全体の4割以上)
- 700万~900万円未満(31名)、900万~1200万円未満(34名)の層が厚い
- 1,200万円以上の高年収層(計21名)も他の地域と比較して顕著に多い
- 1,500万円以上の高所得者層の存在
- 年収1,500万円以上の層は全体から見れば少数
- ただし関東(13名)、近畿(7名)、中部(4名)と存在
また都道府県別に集計したデータに関しても集計作業自体は行っているため、下記をご参照ください。







年収と運用歴(性別ごと)
冒頭でお伝えした「広告運用歴と年収について」について、男女別に分けて集計を試みました。
「令和5年賃金構造基本統計調査」において、情報通信業における一般労働者の平均月額賃金は、男性が350,900円、女性が262,600円であり、男性の賃金を100とした場合、女性の賃金はその74.8%に相当し、この男女間賃金格差は日本の労働市場全体の平均(約75)と同水準程度であることが指摘されています。
それと比較し、広告運用者の男女間賃金格差はどの程度存在するのでしょうか。
まず男性の結果ですが、次のとおりです。

次に女性の結果ですが、次のとおりです。

これらの結果から、次のようなことが言えるのではないでしょうか。
男性に比べて女性はサンプル数が60件と少ないため、結果の解釈には注意が必要です。
以下、その点に注意し読み進めてください
- 男女ともに広告運用の経験年数が増すにつれて年収が高くなる傾向
- 経験年数が少ない層(例:1~5年未満)では比較的低い年収区分(例:300万~700万円未満)に集中
- 経験年数が増える(例:7年以上)につれ、より高い年収区分(例:700万円以上)の割合が増加
- 広告運用職においても男女間の年収に差が見られる傾向がうかがえる結果に
- 男性における高年収層の厚み
- 経験年数が5年以上になると、男性では年収700万円以上の層が厚みを増す傾向
- 経験年数7~10年の男性では、700万円以上の回答者が合計34名存在
- 15年以上の経験を持つ男性では、1,200万円以上の層が合計14名存在
- 女性の高年収層は限定的
- 経験年数が増えても、男性ほど顕著に高年収層(特に1,200万円以上)が増加するわけではない
- 経験7~10年の女性で1,200万円以上は2名
- 15年以上の女性で1,200万円以上は3名
- 中堅層(5~10年)の年収
- 男性は「500万~700万円未満」から「900万~1,200万円未満」あたりに多くの回答者が分布
- 女性も年収は上昇する一方で分布の中心は男性よりやや低い傾向
- 「500万~900万円未満」あたりに集中
またこれは一般論ですが、男性に比べて女性は結婚や出産に伴うキャリアの中断(産休・育休など)や、育児との両立のための働き方の調整(時短勤務、雇用形態の変更など)を選択する場合があり、そのようなライフイベントが、継続的な実務経験の蓄積や昇進・昇給の機会に影響を与え、結果として同じ経験年数であっても男性との年収差につながる一因となっている可能性も考えられます。
加えて、「経験年数」という単一の指標で評価することの限界も考慮する必要があります。
例えば、今回の分析では広告運用の経験年数を用いて区分しましたが、同じ経験年数であっても、その期間にどのような経験をどれだけ積んだか、そしてどのようなスキルや能力を身につけたかは個人によって異なります。
こうした経験内容や能力の違いが、年収差に影響を与えることは十分に考えられます。
最後に(年齢と年収)
最後に、単純な年齢と年収についても集計を行いました。
結果については、次のとおりです。

これらの結果から、次のようなことが伺えるのではないでしょうか。
- 年齢とともに上昇する傾向
- 30代後半から40代前半にかけて年収が大きく伸び、900万円以上の層が顕著に増加する傾向
- 23~26歳など、キャリア初期の年収は多様
- 27~31歳で、年収が全体的に上昇
- 500万~700万円未満(6名)、700万~900万円未満(8名)を中心に「900万~1,200万円未満」(5名)発生
この分析は、運営堂の森野様よりいただいた「年収は地域別に見たかった~」というコメントがきっかけとなりました。貴重なご視点、誠にありがとうございました。
キーマケLabとしましては、今後も広告・マーケティング業界に関する有益な情報発信に努めてまいります。
最後に、本調査にご協力いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。
文責:川手 遼一
