昨日 iOS26 の正式版がリリースされ話題を呼んでいます。
iOS 26
「OS – iOS 26 – Apple(日本)」より引用
新しいルック。
かつてない感覚。
WWDC2025でのiOS26発表時、Safari プライベートブラウズモードに限定し適用されていた「高度なトラッキングとフィンガープリント保護(Advanced Tracking and Fingerprinting Protection)がデフォルトでも(つまりはプライベートブラウズモード以外でも)適用される仕様に変更となるのではないか?」という点においても、当時Xなどを中心に話題になりました。
iOS26のATFPに関する仕様とその影響
昨日提供が開始されたiOS26、また直前で公開されたiOS26 pubβ に関しては「高度なトラッキングとフィンガープリント保護」はプライベートブラウズに対してのみ適用される仕様となっており、胸を撫でおろした Web 広告、サイト制作(運営・保守含む)関連の事業を営んでいる方は多いのではないでしょうか。
キーマケLab では、今朝リリースされたiOS 26のiPhone、iPad の複数環境において「高度なトラッキングとフィンガープリント保護」はプライベートブラウズに対してのみ適用される仕様となっていることを確認しています。
iOS26のATFPに対する認知・理解度調査結果
キーマケLab では独自に、2025年7月に日本在住で3年以上のマーケティング関連業務の経験がある会社員300名を対象に「ATFPに対する認知度・理解度」に関する調査を独自に実施しました。
結果、「Apple社が提供するトラッキング防止機能、高度なトラッキングとフィンガープリント保護(別名:ATFP、Advanced Tracking and Fingerprinting Protection)について、どの程度ご存知ですか」という質問に対して「具体的な影響まで詳しく理解している」と回答したのが28.3%、「具体的な影響までは理解していないが、概要は理解している」と回答したのが28.0%と、約半数以上が理解していると回答したことがわかりました。

定性コメント
また「具体的な影響まで詳しく理解している」「具体的な影響までは理解していないが、概要は理解している」「聞いたことがあるのみ」と回答した227名に対して「Appleは、過去の ITP に続き、ATFP のようなトラッキング防止機能を段階的に強化しています。この大きな流れに対し、懸念していることを教えてください。(記述形式・自由回答)」と質問したところ、次のような回答(原文ママ)を得ています。
まだそこまで考えは及んでいない状態である。(男性・44歳・神奈川県在住・不動産業)
パーソナライズされた広告の表示が困難になるため、広告の効果が低下し、広告主は広告出稿を控える可能性(男性・40歳・埼玉県在住・製造業)
トラッキングが制限されると、データが不正確になったり、収集できなくなる。(男性・40歳・埼玉県在住・製造業)
懸念はないが、トラッキングによってアプリか何かに演奏したときにトラッキングを許可するとなると、自分がSafariで閲覧していたものが広告として出てくる。良い場合もあるが、ちょっと個人的には情報が流れその後どうなってるのかわからないと不安がある。(男性・43歳・神奈川県在住・製造業)
ユーザーが何に対して興味を持つのかわかりにくくなり、プロモーション活動の上で障害になるかもしれない。 情報漏洩の観点では評価できるので功罪感じられる。(男性・34歳・東京都在住・運送、輸送業)
ユーザー属性情報がわからないのは、場合によっては無駄な広報活動になるかもしれない。 何らかの情報収集はしたい。(女性・41歳・東京都在住・サービス業)
ユーザーのプライバシーを守る観点では必要不可欠だと思います。その反面、ユーザーデータをマーケティングに活用していた部分の計測が難しくなると思います。(女性・44歳・東京都在住・商社、卸売り、小売業)
最後に
キーマケLab ではiOS 26公開時よりこの点に注目し、情報発信を行っていたアプリマーケティングの第一人者である嶋さん @AnalyticsShima に今回の件について、直接話を伺いました。

今回のiOS26正式リリースで「高度なトラッキングとフィンガープリント保護(ATFP)」がすべてのブラウズでデフォルト化されなかったことに、まずは正直ホッとしています。
というのも、プライベートブラウズで適用されているATFPではGoogle Tag Manager(GTM)がブロックされてしまい、当社が提供しているツールも正常に動作せず、計測自体ができなくなるリスクがありました。
そのためリリース前から調査を進め、タグを直書きすることで回避できることを確認する検証まで行っていました。
もしこれが通常ブラウズでもデフォルト化されていた場合、やはり影響はあまりに大きすぎると感じています。WWDCでの発表は「Appleの思想を示す観測気球」的な意味合いもあったのではないかと考えていますが、実際にリリース段階で適用範囲を絞ったのは現実的な判断ではないでしょうか。
もちろん今後もAppleがプライバシー保護を強化していく方向性は変わらないと思いますが、影響範囲の大きさを考えると、同様の実装が一気に全ブラウズに広がる可能性は低いのではないかと考えています。とはいえ気は抜かず、引き続きAppleの動向をウォッチしていきたいと思います。



実際に実装されるとなると、広告に限らずサイトの正常な表示や機能にも影響が出て、結果「Google Chromeで表示してください」といった案内をしはじめるサイトも現れ、結果 Safari シェアを失ってしまう…といったことにもつながりかねないため、嶋さん同様に川手も「今後導入されるとしても非常に慎重に実装は進められていくのではないか」と考えています。
キーマケLab では Appleによる「高度なトラッキングとフィンガープリント保護(Advanced Tracking and Fingerprinting Protection)」について、今後も注視し取り扱っていきます。