Web 広告の現場では「CVR」や「CPM」など、さまざまな略語や専門用語が日常的に飛び交いながら、業務が行われています。
特に Web 広告の運用業務に携わり始めた当初は、会議やレポート作成時に意味が分からない略語が登場し、戸惑った経験がある方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、Web 広告の業界で頻出する略語や用語について、カテゴリごとに解説していきます。
記事内では、最初に成果指標に関する数字を読み解くための基本用語を解説し、その数字がどのように目標管理に関わるかを解説しています。
これらを押さえた上で、広告の種類・配信、キャンペーン構成、ターゲティング、解析ツールなど、実務に密接に関わる用語を解説しています。
絶対に押さえておきたい基礎指標用語&略語
大前提として、Web 広告の指標を理解するときは、「表示やクリックに関わる指標」「成果指標」「課金モデル」の3つに分けるとスムーズに理解できるようになります。
- 表示やクリックに関わる指標
- 成果指標
- 課金モデル
代表的なものをあてはめながら、考えていきましょう。
表示やクリックに関わる指標 | 成果指標 | 課金モデル |
---|---|---|
・Imp ・Click ・CTR ・CPC | ・CV ・CVR ・CPA ・CPO | ・CPM ・CPV ・CPI |
Imp(Impression):インプレッション
例えば「Imp」ですが、これは広告が表示された回数を指す「インプレッション(impression)」という指標の略語です。
上記表の中で示すのであれば、ユーザーの画面上に広告が表示された回数を指すため、「表示やクリックに関わる指標」に該当します。
インプレッション数は広告が表示された回数をカウントしたものであり、広告の「露出量」を示す最も基本的な指標です。
そのため、多くの広告運用経験がある方は「インプレッションとは何か」と質問されても、おそらく回答できる方がほとんどではないでしょうか。
しかし、注意しなければいけない点が2点あります。
1.インプレッションのカウント方法には2種類存在する
まず前提として、インプレッションのカウントには2種類1存在します。
- リクエストベース
- OSTベース2
リクエストベースは、アドサーバーへのリクエスト回数=インプレッション数、としてカウントする方法です。
現在、多くの広告媒体において、リクエストベースによるインプレッションのカウントが実施されています。
例えば、Google 広告(レスポンシブディスプレイ、バナー広告など)ではリクエストベースが採用されており、ヘルプ上では次のように明記されています。
インプレッションは、実際に広告がユーザーのデバイスにダウンロードが開始された広告リクエストごとにカウントされます
引用元:インプレッション(表示回数) – Google AdSense ヘルプ
またその上で、Google 広告では「配信されたインプレッション」ではなく、「ダウンロード インプレッション」(広告がユーザーのデバイスにダウンロードされ始めてからカウントされるインプレッション指標)でカウントされています。
「インプレッション」指標は、すべての広告表示に対して「ダウンロード インプレッション」を使用します
引用元:インプレッション(表示回数) – Google AdSense ヘルプ
前述した通り、現在多くの媒体がリクエストベースでインプレッションのカウントを行っていますが、詳細を確認すると「配信されたインプレッション」でカウントしているケースなどもあるため、注意が必要です。
そういった細かい仕様の差が、大きなインプレッション数の差を生み出すこともあります。
2.インプレッションは「ユーザーの画面上に広告が表示」された数であり「実際に広告が見られた」際の数ではない
次に注意すべきは、インプレッションとはそもそも「ユーザーの画面上に広告が表示」された数であり、実際に広告が「ユーザーの見える範囲に表示された」際の数値ではないという点です。
実際に「ユーザーの見える範囲に表示された」際の指標のことは、Viewable Impression(ビューアブルインプレッション)という別の指標で管理されます。
Viewable Impression(ビューアブルインプレッション)
ユーザーの画面に「見える範囲」で表示されたインプレッションのこと
また Viewable Impression(ビューアブルインプレッション)に関して、媒体や広告フォーマット、配信面によって「ユーザーの見える範囲に表示された」の定義が異なる場合があるため、注意が必要です。
以下は、その一例です。
媒体名 | 静止画 | 動画 |
---|---|---|
Google(ディスプレイ) | 広告面積の50%以上が画面に 1 秒以上表示された時 | 広告面積の50%以上が表示され、2秒以上の継続再生があった時 |
YDA | 広告の50%以上の範囲が1秒以上連続して表示された時 | 広告の50%以上の範囲が表示された状態で2秒以上連続して動画再生された時 |
引用元:ビューアブルインプレッションとは – ヘルプ – Yahoo!広告
場合によってはビューアブルインプレッション率の違いが、広告のクリック率などに影響を与えることもあるため、概念として理解しておくと良いでしょう。
Click:クリック
クリックとは一般的に、ユーザーが広告をマウスでクリック、もしくはスマートフォンやタブレット端末でタップすることを示し、クリック数はその数を、クリック率はインプレッションに対するクリックの発生率を示す指標3となります。
特に注意しなければいけないのは、さまざまな種類の「クリック」が存在しているという点です。
例えば Meta 広告1つを例にとっても、以下のように複数の種類のクリックが存在しています。
クリックの種類 | 説明 |
---|---|
クリック(すべて) | 広告のクリック数、タップ数、またはスワイプ数 |
リンクのクリック | Metaのテクノロジー内外で、広告主が指定するリンク先への誘導につながった広告内のリンクのクリック数 |
推定通話確認クリック | 通話先が指定された広告がクリックされた後に、通話確認ダイアログで通話ボタンがクリックされた推定回数 |
リンククリック(ユニーク) | リンクのクリックを実行したアカウントセンター内アカウントの数 |
アウトバウンドクリック | Metaのテクノロジー外のリンク先に誘導したリンククリック数 |
ユニークアウトバウンドクリック | アウトバウンドクリックを実行したアカウントセンター内のアカウント数 |
このように1つの媒体を見ても、クリックには複数の種類が存在し、また「クリック」の定義を誤ったまま認識した状態でクリック率などを算出すると、広告効果を見誤ることにもつながるため、注意が必要です。
また広告代理店や、支援会社に広告運用を依頼している場合、「クリック」の定義を認識し合わせておかないことによって、トラブルに発展するケースもあります。
この点は注意が必要です。
また、クリック数が多いと「広告が表示され、興味を持ったからこそクリックされている」という風に考えられるケースも珍しくありません。
そのため、クリック数やクリック率を「広告の興味・関心や魅力度を測る基本的な指標」として扱うことがあります。
しかし一方で、アドフラウドとも呼ばれるような、不正クリックなどによってクリック数が増えるほか、クリック率が異常に跳ね上がるケースも存在します。

そのため、クリック数が多くても、その後のコンバージョンにつながらない場合やその他指標などを見て違和感がある場合は、広告の配信設定や、ターゲティング内容を見直す必要があります。
CTR(Click Through Rate):クリック率
クリック率とは、前述したインプレッションに対して、どの程度クリック(またはタップなど)が発生したのかを示す割合を示す用語です。
以下計算式で、算出可能です。
CTR(%) = (クリック数 ÷ インプレッション数) × 100
クリック率に関しては、業界平均値など一部公開されている物なども存在します。
しかし、クリック率は下記要素により大きく変化するため、業界水準での基準値などは考慮せず運用する形が望ましいでしょう。
- 広告媒体そのものの特性
- 広告そのものの内容(特にオファーなど)
- 広告メニュー
- ターゲティング
特にクリック率に拘るあまり、「クリック率は高くなければならない」「クリック率は高ければ高いほどよい」という風に考え、広告運用を進めてしまうケースも存在します。
しかし、多くの場合において「クリック数を最大化させることそのもの」が広告運用の目的では無いケースが多く、そのためクリック率の改善や KPI としてクリック率を設定し広告運用に取り組み始める場合などは、グッドハートの法則が働かないか、つまりは「目的と手段の逆転が起きてしまっていないか」といった点について、静観しつつ、都度必要に応じて対応を進めていくことが求められます4。
CPC(Cost Per Click):クリック単価
広告を1回クリック、またはタップされるのに対してかかった費用、もしくは CPM やCPV 課金の場合においても、費用をクリック数で割り、平均的な1回クリック、またはタップあたりの発生にかかったコストを示す指標です。
以下計算式で、算出可能です。
CPC = 広告費 ÷ クリック数
似た用語として「入札単価」と呼ばれるものがあります。
例えば、手動でリスティング広告の配信を行う場合、キーワード単位などで入札単価を設定し、広告配信を行います。
この場合、入札単価は一般に「1回あたりの広告のクリック、もしくはタップに対して支払ってもよい上限額」が設定されるケースが多いです。
しかし、実際にはその入札単価を下回る、実際に発生した1回のクリックに発生したコスト(CPC)が支払われる形で処理されるケースが一般的5です。
CV(Conversion):コンバージョン
コンバージョンとは、サイト訪問者が商品を購入したり、資料請求を行ったりする、行動を示す用語です。
コンバージョン数はその単純な行動の発生件数を示す場合もあれば、1ユーザーが複数同様の行動を取ったとしても1件までしかカウントしないように処理する場合もあります。
またコンバージョン率は、その発生率を示します。
コンバージョンとしては、広告配信の目的そのものが設定される場合が多く、例えば申し込み・資料請求・購入・会員登録などが設定され、広告配信の最適化に用いられます。
またコンバージョンは、特に「獲得」を目的に配信される広告の成果を測る上で、もっともポピュラーな指標でもあります。そのため、「広告活動の目的達成度を直接的に評価する指標」と理解しておきましょう。
また現在では設定されるケースも珍しくなってしまいましたが、かつてはMCV(マイクロコンバージョン)を設定した上で広告配信を行うケースもありました。
そのため、運用開始から歴があり、長らく管理画面上の効果計測面でのアップデートが行われていない、もしくは通常では考えられないぐらい多くのコンバージョンが管理画面上で発生しているアカウントなどに触れる際は、そのようなケースに該当する可能性があるということを留意すべきです。
MCV(Micro Conversion):マイクロコンバージョン
購入などの最終目標への経路における途中のコンバージョン(カート追加、フォーム入力開始など)を指します。複数のコンバージョンポイントを設けることで、ユーザーの検討段階を評価できます。
またコンバージョン計測に関連し、実際に商品を購入したり、資料請求が実施されたりした際に表示されるページのことを「サンクスページ(または「完了ページ」「サンキューページ」とも呼ぶ)」と呼び、管理されるケースがあります。
サンクスページ(または「完了ページ」「サンキューページ」とも呼ぶ)
コンバージョン(申し込み、購入など)完了後に表示されるページ全般を指します。またサンクスページでは、次のようにユーザーへのアクションの案内や、アップセルやクロスセルの提案を行う用途で活用されるケースもあります。
- 関連商品やサービスの案内
- SNSへのシェアの促進メッセージ
- 次回以降利用可能なクーポン発行
CVR(Conversion Rate):コンバージョン率
CVR(コンバージョン率)とは、広告をクリック、もしくはタップしたユーザーがどの程度コンバージョンまで至ったかを示す指標です。
以下計算式で、算出可能です。
CVR(%) = (コンバージョン数 ÷ クリック数) × 100
CPA(Cost Per Acquisition):コンバージョン単価
1件のコンバージョンを獲得するのにかかるコストのことです。
CPA = 広告費 ÷ コンバージョン数
広告運用の現場においては、目標となる CPA の値を設定し、それを下回るよう広告運用を最適化するケースが多く存在します。
最適な CPA に関しては、事業の LTV(顧客生涯価値)や利益率などから逆算し、許容できる値を設定するのが一般的です。
CAC(Customer Acquisition Cost):顧客獲得コスト
CPA(Cost Per Action)は特定のアクション1件あたりのコストを指すのに対し、CAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得コスト)は新規顧客1人を獲得するためのすべてのマーケティングコストを指します。
CPO(Cost Per Order):コスト・パー・オーダー
1件の注文(購入)を獲得するのにかかるコストを指します。
CPO = 広告費 ÷ 注文件数
前述した通り、CPA は広告費をサイト上でコンバージョンとして設定されたものの行動の数で割ったものです。
例えば Acquisition として設定されているものが「資料請求」の場合、広告費を資料請求数で割ったものが CPA となります。
一方、資料請求をする=必ずしも注文(購入)ではありません。
そのため、資料請求されるようなケースの場合、資料請求後に注文(購入)数で広告費を割った数を CPO として管理する場合があります。
CPM(Cost Per Mille):インプレッション単価
広告が1,000回表示(インプレッション)されるのにかかるコストを指します。
以下計算式で、算出可能です。
CPM = (広告費 ÷ インプレッション数) × 1,000
用語の由来となる「Mille」はラテン語で「1,000」という意味があります。
そして imp 単価(Impression Unit Price)は1インプレッションあたりのコストを指し、CPM を1,000で割って算出可能なものとなります。
CPV(Cost Per View):動画再生単価
動画広告が1回再生されるのにかかるコストのことです。
以下計算式で、算出可能です。
CPV = 広告費 ÷ 動画再生数
動画マーケティングにおける効率指標として使用されていますが、各プラットフォームによって「視聴」の定義が異なる点に注意しましょう。
Google(ディスプレイ):広告面積の50%以上が表示され、2秒以上の継続再生があったとき
Fecebook、Instagramの動画広告:3秒以上の再生で1ビューカウント
CPI(Cost Per Install):アプリインストール単価
アプリやソフトウェアが1回インストールされるのにかかるコストのことです。
以下計算式で算出可能です。
CPI = 広告費 ÷ インストール数
一般にアプリには、3種類存在します。
- Webアプリ
- ネイティブアプリ
- ハイブリッドアプリ
基本的に CPI を用いる場合はネイティブアプリでなおかつ、スマートフォン、タブレット端末へのダウンロードを前提としている場合が多く、ダウンロード効率やユーザー獲得の効率性を測る基本指標として用いられるケースが一般的です。
ただし、例えばソフトウェアの広告配信において、PC へのソフトインストールを CPI を用いて管理するケースなども存在するため、CPI = 必ずしもスマートフォンアプリのダウンロード効率やユーザー獲得の効率性だけを測る指標ではない、という点については留意すべきです。
KPI/KGI・投資対効果に関する用語&略語
Web 広告の運用者は、目標設定を行った後に日々の効果測定を行いながら広告を運用していきます。
以下では、目標設定や投資対効果測定に関する重要用語を解説していきます。
KGI(Key Goal Indicator):最終目標指標
KGI とは、企業や事業が達成すべき最終的な目標を数値化した指標を指します。
「売上」「利益」「市場シェア」など、事業の根幹に関わる指標が設定されることが多いです。
KPI(Key Performance Indicator):主要業績評価指標
KPI とは、KGI 達成のために管理すべき重要指標のことです。
KGI よりも細分化された、日々の業務で管理しやすい指標を設定します。
広告運用においては、「CPA」「ROAS」「CV」などが、一般的に KPI として設定されることが多いです。
これらの指標を管理することで、KGI の達成を目指します。
・KGI:売上1億円の達成
・KPI:月間CV数1,000件、CPA10,000円以下、など
年間売上10億円(KGI)を達成するための月次KPI
・月間流入数:100,000人
・サイト内コンバージョン率:2%
・平均購入額:5,000円
ROAS(Return On Advertising Spend):広告費用対効果
ROAS とは、広告費に対する売上の割合を示します。
広告の直接的な投資対効果を示す指標のため、押さえておきましょう。
ROAS(%) = (広告経由の売上 ÷ 広告費) × 100
ROAS と似た言葉で、ROIS という言葉があります。
日本ではまだ利用されるケースはごく稀ですが、特にインフルエンサーマーケティングの海外の先行研究レポートで散見されることがあるため、関連した施策を展開することが多い場合、把握しておくと良いでしょう。
ROIS(Return On influencer Spend):インフルエンサー施策費用対効果
日本ではまだ使用されるケースは稀ですが、海外ではインフルエンサー施策の費用対効果のことを ROIS と表現することがあります。
ROI(Return On Investment):投資利益率
ROI とは、投資に対する利益の割合を示します。
広告に限らず、投資の効率性を示す財務指標として広く使用されています。
ROI(%) = ((投資による利益 – 投資額) ÷ 投資額) × 100
ROI が投資に対する「利益」に基づいて計算される一方、ROAS は(投資でもある)広告に対する「売上」に基づいて計算されます。ROAS の A は Advertising (広告)の A だからです。
ROI の方が、原価や諸経費を考慮した、より正確な投資効率を示します。
例.広告費100万円、売上300万円、利益120万円の場合…
ROAS = 300万円 ÷ 100万円 × 100 = 300%
ROI = (120万円 – 100万円) ÷ 100万円 × 100 = 20%
広告の成果改善に関する用語
広告の成果改善のためには、テストや最適化が欠かせません。
次に広告や LP の成果改善に関する重要用語を解説します。
ABテスト
AB テストとは、2つ以上のバリエーション(A案とB案)を用意し、どちらが効果的かを統計的に検証する手法です。
LP や広告の最適化を行う際に A/Bテストは使用されることが多く、広告文や画像、LP、CTA、レイアウト、テキストなど、あらゆる要素の最適化に活用されます。
AB テストには、期間を分けて行うもの、同時に並行して実施されるものの2種類が存在します。
テストする際は一度に変更する要素を絞り、十分なサンプルサイズを確保しつつ、AとBがそれぞれ AtoA の状態で実施されているかどうかという点について、注視すべきです。
また必要に応じて、撤退条件や終了条件、テスト完了時の投下費用やクリック数、コンバージョン数の目安なども事前に定めて実施すべきです。
LPO(Landing Page Optimization):ランディングページ最適化
LPO とは、ランディングページのコンバージョン率を向上させるために、デザインやコピー、構成などを改善する施策を指し、コンバージョン率、UI/UXの向上などを目的に実施される改善活動の1つです。
多くの場合において、AB テスト形式で、効果測定を行いながら改善を進める形が採られます。
実際に AB テストを進めていくためには、専用のテストツールを用いることが多く、例えば Google がかつて提供していた「Google オプティマイズ」はその1つです。
現在 Google は Google オプティマイズの提供をすでに終了しており、代わりに PROJECT GROUP 株式会社が提供するABテストツール「Optimize Next」などが利用されているケースが多いことが、キーマケLab の調査結果からも明らかになっています。

EFO(Entry Form Optimization):エントリーフォーム最適化
EFO(Entry Form Optimization)とは、コンバージョン率などを引き上げるために、フォームに特化した最適化を行うことを示します。
実際に EFO を行う場合、3つの取り組みを中心に実施されることが多いです。
- 項目の削除
- 項目に対するデータ入力の補助(自動化を含む)
- 入力フォームの UI/UX 改善
一般的にコンバージョン率を引き上げようとする場合、コンバージョンの直前(つまりはフォーム)から調整するアプローチを行うケースが多く、実際フォームの最適化が進んでいない場合、効果が出るケースが多いです。
そのため LPO に先駆け、特にフォームに課題がある場合は EFO から注力した方が最短で全体の成果改善(特に「獲得」を目的とした広告配信を行っている場合)につながることが珍しくありません。
PDCA(Plan-Do-Check-Action):PDCAサイクル
業務改善の手法で、継続的な改善を図る、円状(サイクル)のフレームワークを指します。
以下は、広告運用の現場における PDCA サイクルの具体例です。
- Plan:目標KPIの設定、予算配分、クリエイティブ企画
- Do:広告出稿、入札調整、クリエイティブ配信
- Check:KPI達成状況の確認、原因分析
- Action:入札調整、ターゲット修正、クリエイティブ改善
前述した通り、PDCA サイクルは円状(サイクル)のフレームワークであるため、実際の業務の中では「PDCA を回す」といった形で表現されることが多いのではないでしょうか。
CTA(Call To Action)
ユーザーに、特定のアクションを促すための要素のことを言います。
例えば商品訴求の LP や広告において、「今すぐ申し込む」「資料をダウンロード」などのボタンやテキスト(リンク)が CTA に該当します。
CTA は、前述した AB テストが行われることの多い要素の1つです。
文言や色、テキスト、サイズ、配置などを変えてテストすることで、最適化を図られることが多々あります。
広告の種類に関する用語
Web 広告には様々な種類と配信方法があります。以下では主要な広告タイプと配信技術について解説します。
リスティング広告(Search Ads):検索連動型広告
リスティング広告(検索連動型広告)とは、ユーザーが検索する語句、想起される検索意図や検索シーンを考慮・連動して、検索エンジン(Google や Yahoo!、Bing など)の検索結果画面の上に表示されるテキスト主体の広告枠や広告そのものを示します。
検索結果画面上に表示される広告は、リスティング広告だけではありません。
例えば Google で特定の商品を探そうとすると、ショッピング広告(旧・PLA)と呼ばれる広告、広告枠が表示されることもあります。しかし、「リスティング広告(検索連動型広告)」の言葉が示す対象として、ショッピング広告は含まれないケースが一般的6です。
検索結果画面上に出てくる広告 = リスティング広告(検索連動型広告)ではないということは、留意すべきです。
DSA(Dynamic Search Ads):動的検索広告
Web サイトの内容を自動でクロールし、検索クエリに関連する内容を持つページに対して動的に広告を生成・配信する広告形式を指します。
広範なキーワードをカバーしたい場合に使われることが多いですが、動的に広告が生成・配信されるため、広告の品質管理が難しい側面もあります。
RSA(Responsive Search Ads):レスポンシブ検索広告
複数の広告見出しと説明文を登録しておくと、AI が自動的に組み合わせを最適化して表示する広告形式です。
デバイスや検索意図に応じて表示内容が変わり、様々な検索意図に対応できる特徴があります。
Display Ads:ディスプレイ広告
Web サイトやアプリ内に表示される、画像や動画、あるいはそれらとテキストを組み合わせた広告全般を指します。
テキストやバナー、動画に加え、gifアニメーション主体のものなど、様々な形式のものがあります。
リスティング広告に比べて、絵や動き(動画やgifの場合)があるため、視覚的に訴えかけることができるといった特徴があります。
運用型広告(Programmatic Ads)
広告主が広告の配信状況に応じ、リアルタイムに入札額や配信先などを変更・改善できる広告配信手法です。
詳細なターゲティング設定をして広告を運用したり、AB テストによって反応を検証したりしながら、改善ができます。
アフィリエイト広告(Affiliate Ads):成果報酬型広告
アフィリエイトとは、媒体サイト(アフィリエイター)が商品やサービスを紹介し、成果(購入、会員登録など)が発生した場合にのみ報酬が発生する仕組みのことを示します。
これらの仕組みを用いつつ、運用型広告などを用いて集客する仕組みのことを、アフィリエイト広告(Affiliate Ads)、成果報酬型広告などと表現します。
また別称として「アドアフィ」「PPCアフィ」とも呼ばれる場合があります。
広告主目線で見ると、成果が発生しなければ広告費は発生しないため、成果に応じた費用対効果が期待できるなどといった点で、メリットの大きい広告施策となります。
その一方、品質管理が難しく、過去には管理しきれずに不適切な広告が配信されてしまうといったことが起こり、問題視される事態に発展したこともあるほか、過去に国民生活センターに問題点を指摘7されるなどし、話題となったこともあります。
アフィリエイトには SEO(検索エンジン最適化)を用いた「SEOアフィ」と呼ばれるものも存在します。
アプリインストール広告(App Install Ads)
アプリインストール広告とは、モバイルアプリのインストールを促進するための広告です。
広告配信に関わる用語&略語
広告運用の業務に携わっていたとしても、実際に広告が配信されるまでの仕組みを図解したり、正確に各要素の役割を理解している人は多くありません。
例えば、下記は実際に広告が配信されるまでの仕組みを、各要素を織り交ぜつつ図解したものです。

まずはこの図を前提に、各要素を見ていきましょう。
DSP(Demand-Side Platform):広告主向け入札プラットフォーム
DSP(Demand-Side Platform)とは、広告主が様々なアドエクスチェンジの広告枠に対して、一元的に入札・広告配信管理ができるプラットフォームのことを示します。
SSP(Supply-Side Platform):媒体向け入札プラットフォーム
SSP とは、パブリッシャー(媒体社)が広告枠を効率的に販売・管理するためのプラットフォームです。
広告収益を最大化するための機能が提供されており、連携しているアドネットワークや DSP で配信されている広告の中で、最も単価が高いものを自動で配信します。
- Google Ad Manager
- MicroAd COMPASS
DMP(Data Management Platform):データ管理プラットフォーム
DMP とは、Web サイトに訪れたユーザーの行動データや、サービスの利用履歴などのユーザーデータを収集・分析・活用するためのプラットフォームを指します。
収集されたデータは、広告配信の効率化やパーソナライゼーションに活用されます。
RTB(Real-Time Bidding):リアルタイムビディング
RTB(リアルタイムビディング)とは、広告枠をリアルタイムに取引する仕組みを指します。
ユーザーが Web ページにアクセスした際に瞬間的に広告枠のオークションが行われ、落札した広告主の広告が表示される仕組みを示します。
Ad Network:アドネットワーク
アドネットワークとは、多数の Web サイトやソーシャルメディアの広告枠をまとめて販売するプラットフォームのことを指します。
広告枠を持つパブリッシャー(メディア)と、広告を出稿したい広告主をつなぐ仲介サービスと理解しておきましょう。
代表的なものとしては、次のようなものがあげられます。
- Googleディスプレイネットワーク(GDN)
- Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDA)
Ad Exchange:アドエクスチェンジ
アドエクスチェンジとは、広告枠のオークションプラットフォームです。
リアルタイムビディング(RTB)を通じて、広告主とパブリッシャーをつなぐマーケットプレイスです。
- Google AdX:Google が運営する広告配信サービス
- OpenX Ad Exchange:OpenX が提供する世界で広く使われているアドエクスチェンジプラットフォーム
キャンペーン構成・実務に関する用語&略語
広告運用の実務で使われる、キャンペーン構成や設定に関する用語についても解説していきます。
まず広告アカウントを作成し、広告配信を進めていく際、下記の図のような構造となるケースが一般的8です。

広告アカウント
広告プラットフォーム(例.Google 広告、Yahoo!広告など)で広告を出稿・管理するための基本単位を指します。
広告運用時は、アカウント内に複数のキャンペーンを設定し、広告配信を行っていきます。
また広告アカウントを構築していく際に、便利なツールがキャンペーンエディターです。キャンペーンエディターを用いることで、複数のキャンペーン、広告グループ、キーワードなどを一括で編集、作成することなどが可能となります。
キャンペーンエディター:複数のキャンペーン、広告グループ、キーワードなどを一括で編集するツールを指します。
以下が、代表的なものとなります9。
- Google 広告エディタ(Google Ads Editor)
- 検索広告入稿支援ツール キャンペーンエディター(Yahoo!広告)
- ディスプレイ広告 入稿支援ツール キャンペーンエディター(Yahoo!広告)
- Microsoft 広告エディター
キャンペーンの複製などをオフライン環境で実施し、実行した内容を一括でアップロードすることができるほか、作業内容を CSV として出力し、作業内容を確認するなどといったことが可能です。
ただし、実際に取り扱う場合は以下2点注意が必要です。
- 最新のアップデートには対応していないケースも多い(入稿できない広告や広告の形式が存在している)
- 同時に複数人でエディターを用いて入稿すると他人の設定を上書きしてしまう可能性がある
キャンペーン
広告アカウント内の予算、配信設定の基本単位となります。
複数の広告グループをまとめる単位として、理解しておきましょう。
広告グループ(広告アセット)
キャンペーン内の小分類を指し、関連するキーワードや広告をグループ(アセット)化した単位のまとまりを示します。
共通のテーマやキーワードでグループ化し、同じ入札設定を適用したり、ターゲティング設定を適用するために使用します。
広告(広告クリエイティブ、クリエイティブ)
広告(広告クリエイティブ、クリエイティブ)とは、広告主が対象となるユーザーに対して、商品やサービス、イベントに関する情報などを告知する際に用いられる、表現物全般を示します。
Web 広告の場合、テキストや画像、動画など、様々な形式のものがあります。
またそれぞれ広告の種類によって、求められる配信前に設定が必要な要素は異なります。
以下はあくまで例ですが、それぞれ制作や設定を進めていく過程で、次のような要素の設定が求められる場合があります。
- テキスト広告:見出し、説明文、表示URL、リンク先URL
- バナー広告:画像、テキスト(例.レスポンシブディスプレイ広告の場合など)、リンク先URL
- 動画広告:動画そのもの、サムネイル、テキスト、CTA、リンク先URLなど
また Google 広告の場合、広告そのもの、あるいは広告を構成する要素を「アセット」として取り扱う場合があります。
特に検索連動型広告を取り扱う際、関連語句としてあげられるのが、「広告表示アセット(広告表示オプション、もしくはアセット)」です。
広告表示アセット(広告表示オプション、もしくはアセット):広告の構成要素(タイトル、説明文、表示URL、リンク先 URLなど)以外の付加情報を、広告に追加して表示できる機能を示します。
媒体により様々な種類のものが存在します。例えば Google 広告の場合、詳細については下記記事などでもまとめています。
関連記事:Google広告表示オプションとは?全10種の特徴や規定、設定方法を解説
またGoogleとMicrosoft 広告の場合、(自動)と付くものもあります。何も設定していない場合や、キャンペーンに紐づいて配信されていない場合、あるいはアセットが審査落ちした場合などに自動的に生成され、配信されるものです。
詳細については下記記事などでもまとめています。
LP(Landing Page):ランディングページ
広告をクリックした後に最初に表示されるページを指します。
購入、会員登録など特定の行動を促すことを目的に特化して制作されたページそのものを示すケースもあります。
ターゲティング
ターゲティングとは、特定のユーザーに絞って広告を配信する手法を指します。
人を対象にしたターゲティング(サイト訪問履歴や行動履歴、属性、興味関心など)や、広告が掲載される場所を対象にしたターゲティング(地域、デバイス、広告掲載面)には、以下のような種類があります。
ここでは代表的なものを紹介しますが、他にも OS やキャリア(携帯キャリア)、ブラウザ(Edgeなど)などを用いたものも存在しています。
また主に広告グループ(広告アセット)上で設定されることが多いものになりますが、レポーティング上や管理工数上の問題で、キャンペーン単位で分けて管理するケースが一般的です。
まずは人を対象にしたものから解説していきます。
カスタム セグメント
カスタム セグメントとは、Google 広告プラットフォーム上で独自に定義、設定、作成したユーザーグループに対して広告を配信する手法です。
- 自社のウェブサイト(自社管理下の広告アカウント発行のタグが設置ページ)訪問者データを利用(後述リターゲティング / リマーケティング)
- 顧客リスト(メールアドレス、電話番号など)を利用した広告配信
- 関連性の高いキーワードや URL、アプリを用いて最適なオーディエンスを作成し広告配信
Google 広告ではカスタム セグメントについて、以下のように説明しています。
カスタム セグメントを使用すると、関連性の高いキーワード、URL、アプリを入力することで、最適なオーディエンスにアプローチできます。
ディスプレイ、ファインド、Gmail、動画キャンペーンで、商品やサービスに関連する具体的なキーワード、URL、アプリを追加することで、カスタム セグメントを設定できます。Google 広告は追加された内容を審査し、広告掲載のポリシーに準拠しているか確認したうえで、そうした内容への興味 / 関心や購入意向を持つユーザーを対象に、ページ、アプリ、動画で広告を表示します。
引用元:カスタム セグメントについて – Google 広告 ヘルプ
リターゲティング / リマーケティング
リターゲティング / リマーケティングは一般的に、ユーザーリストを用いて過去に自社 Web サイトなど、広告効果計測などに使用されるタグが設置されたページにアクセスしたことがあるユーザーに対し、広告を配信する手法10です。
ユーザーはすでに商品・サービスに何らかの関心を持っているケースが多いため、コンバージョン(購入や申し込み)につながりやすいという特長があります。次のようなケースで利用されます。
- 離脱ユーザーへの再アプローチ:商品ページを見たものの購入に至っていないユーザーに広告を出すことで、検討の続きを促す
- 接触機会の増加によるブランド想起:一度サイトを訪れたユーザーに繰り返し広告を表示させ、ブランドや商品を思い出してもらう、あるいは「○○といえば△△」といったような第一早期確立や他社を選択肢から排除
- レコメンド(関連商品・サービスの提案):閲覧したアイテムと関連する商品・サービスを広告として表示し、アップセル・クロスセルを狙う
名称の違いについてですが、結論 Google 広告、Microsoft 広告に関しては「リマーケティング」、それ以外の媒体においては「リターゲティング」と呼ばれ管理されるケースが一般的11です。
また Google 広告においては「広告主様のデータ」「広告主様のデータ セグメント」と扱われる場合があります12。
(Advantage)詳細ターゲット設定
(Advantage)詳細ターゲット設定とは、Meta 広告において設定可能な、広告配信したい対象の興味や関心事を選択し、広告を配信する手法です。利用者層・興味・関心・行動などから、設定可能です。
Facebook 広告では、大きく分けて以下3つのターゲットが設定できます。
- カスタムオーディエンス(サイト訪問者や類似ユーザーなど)
- デモグラフィック(地域、年齢、性別)
- 興味関心・行動
(Advantage)詳細ターゲット設定に関して、特に興味関心や行動などを中心に、随時追加または削除がなされています。
以下記事から、過去(2023年3月)キーワードマーケティングがまとめたものをダウンロード可能です。
(共通)オーディエンスリスト
オーディエンスリストとは、おもに Yahoo!広告(YDA)にて用いられる用語で、さまざまな種類のデータソース(オーディエンスソース)を基にしたオーディエンスリスト・共通オーディエンスリストを示します。またこれを用いて配信する広告配信のことを、オーディエンスリストターゲティングとも呼称します13。
大きく分けてオーディエンスリストには「オーディエンスリスト」と「共通オーディエンスリスト」の2種類存在し、それぞれ次のような種別があります。
オーディエンスリスト | 共通オーディエンスリスト |
---|---|
広告アクションユーザー | 興味関心 |
ウェブサイト訪問ユーザー | 購買意向 |
アプリユーザー | 属性・ライフイベント |
顧客データ | ヤフー提供(ディスプレイ広告(予約型)のみ) |
Yahoo! Audience Discovery | |
高度なセグメント | |
ビジネスマネージャー | |
LINE公式アカウントの友だち・LINE公式アカウントをブロック中の友だち | |
類似ユーザー | |
組み合わせ |
特に直近サーチターゲティングが廃止され、オーディエンスリストに設定移行を推奨する動きがあるほか、高度なセグメントにおいて URL を用いることにより、Yahoo! JAPAN の検索結果から指定した URL とその下層ページを訪問したユーザーに広告配信することが、すべてのアカウントで可能となるアップデートの実装などが実施または実施が予定されるなどし、注目を集めています。
ジオターゲティング
地理的な位置に基づいて広告を配信する手法を指します。国や都道府県、市区町村、半径などの単位で指定が可能です。
- 店舗への来店促進キャンペーンの配信
- 配送可能エリアに絞った広告配信
デバイスターゲティング
ユーザーが広告を閲覧する端末をデバイスと称し、デバイスの属性に合わせたターゲティングをデバイスターゲティングと言います。デバイスとしては、下記のようなものが代表的なものとしてあげられます。
- PC
- スマートフォン
- タブレット
- TV(コネクテッドTV)
- その他
「その他」には、端末を特定できなかったトラフィックが含まれるほか、フィーチャーフォン(いわゆる「ガラケー」)やブラウジング機能が搭載されたゲーム端末(例.PSP、Nintendo Switch など)などの数値が一般に含まれると認識しておくと良いでしょう。
プレースメントターゲティング
ディスプレイ広告が表示される Web サイトやアプリ、その配置場所のことをプレースメントと呼びます。
プレースメントターゲティングは、指定の Web サイトや動画、アプリを指定して広告を配信したり、反対に配信制限をかけるターゲティング手法を指します。
一般的には、以下のような設定が可能です。
区分 | プレースメント種類 | 詳細 |
---|---|---|
配信 | 自動プレースメント | システムが自動的に広告掲載場所を選定 |
手動プレースメント | 特定のサイトやアプリ、配置場所を手動で指定 | |
除外 | 除外プレースメント | 広告を表示したくないサイトやアプリ、配置場所を指定 |
コンテンツ ターゲット
コンテンツ ターゲットとは、Google 広告におけるターゲティング手法の1つで、特定の語句を設定し、広告を表示するウェブページのコンテンツやテーマをその語句に基づいたものにし、ディスプレイ広告を配信する手法です。
関連性の高いコンテンツページで親和性の高い広告を表示することで、より高い広告効果に期待が持てます。
- 旅行に関するコンテンツで、観光パッケージの広告を表示する
- 金融カテゴリ記事に、投資を支援するソリューションの広告を表示する
下記アップデートが行われた関係で、以前に比べるとより関連性が薄い配信面にも広告が配信されるようになり、うまく機能するケースが以前に比べて限定的となってしまいました。
しかし、1つでも良い面を見つけたら上記「プレースメントターゲティング」で指定して広告出稿する、といった調整を繰り返していくことで、現在でも効率的な広告配信を可能とするためには欠かせない、ディスプレイ広告の配信手法の1つです。
より多くのユーザーに広告を表示できるよう、ターゲットに設定したトピック、プレースメント、ディスプレイ広告、動画広告、または検索広告のキーワードに一致するコンテンツに広告が表示されるようになります。たとえば、トピックとして「自転車」をターゲットに設定し、ディスプレイ広告、動画広告、または検索広告のキーワードとして「サイクリング」をターゲットに設定すると、いずれかに一致するコンテンツに広告が表示されます。
引用元:コンテンツ ターゲット – Google 広告 ヘルプ
パラメータ
パラメータとは、URLに付加する情報で、トラフィックの流入元や広告の情報を特定するために使用されます。
代表的なパラメータの一つに「UTM」があります。
- utm_source:トラフィックの発生元(google, yahoo, facebook)
- utm_medium:トラフィックの種類・メディア(cpc, email, social)
- utm_campaign:キャンペーン名(spring_sale, brand_awareness)
- utm_term:検索キーワード(blue_shoes, discount_hotels)
- utm_content:コンテンツの違いを識別(logolink, textlink)
こうしたパラメータを活用することで、キャンペーンごとの広告の効果測定が可能になったり、複数の広告媒体を横断した分析が可能になったりします。
関連記事:URLパラメータとは?設定前に知っておくべき2つのことと媒体別の設定方法
また広告媒体によっては、トラッキングテンプレート(トラッキング URL)が提供されており、ValueTrack パラメータ が使用可能です。
トラッキングテンプレート(トラッキング URL)、ValueTrack パラメータを利用することで、設定が必要な際に複雑な作業を簡略化させることができ、ミスの予防や、管理の工数削減を実現することが可能となります。
トラッキングテンプレート(トラッキング URL)、ValueTrack パラメータについては上記記事の「トラッキングテンプレート(トラッキング URL)」で詳しく言及されていますので、気になった方はご参照ください。
また付与されたパラメータについて、GA4 で見たり管理するケースも多いのではないでしょうか。
GA4 で確認する合、「データ探索」からあらゆる UTM のパラメータを確認することが可能です。
必要に応じて「データ探索」の「空白」から、新しいデータ探索を作成し、必要に応じてディメンションを用意し(下記表は”ユーザー”で見る際のもの)行または列に割り振り、値として「総ユーザー数」などを設定することで確認です14。
パラメータ | ディメンション(ユーザー) |
---|---|
utm_source | ユーザーの最初の参照元 |
utm_medium | ユーザーの最初のメディア |
utm_campaign | ユーザーの最初のキャンペーン |
utm_term | ユーザーの最初の手動キーワード |
utm_content | ユーザーの最初の手動広告コンテンツ |
また他にも「ユーザーの最初の参照元 /メディア」などを使うことで、トラフィックの発生元、トラフィックの種類・メディアをいっぺんに取得することも可能です。
ターゲティング&リーチ関連用語
効果的な広告配信のためには、適切なターゲティングとリーチの設定が重要です。
基本的な概念から具体的な設定項目として登場する用語を解説します。
フリークエンシー(Frequency):広告接触回数
フリークエンシーとは、1人のユーザーに対して広告が表示される回数のことを指します。
フリークエンシーが高すぎると、ユーザーから「煩わしい」と感じられることがあるほか、Meta 広告などの場合、同じ広告(単一の広告)ばかり特定の層に配信され続け、過去のデータと比較し成果が出ず、一定の関心が持たれないと判断された場合において「広告疲れ」「過少クリエイティブ」というステータスとなり、広告が露出がされにくくなるなどといったことが起こりえます。
Meta広告における広告疲れ:オーディエンスが同じクリエイティブを何度も見た場合に発生する事象、ラベリング、ラベリング付与を示します15。
以下の場合において生じます。
- クリエイティブを1件だけ使用している場合
- 以下以外のキャンペーン、広告配信形式で広告配信を行っている場合
- Advantage+ カタログ広告(以前のダイナミック広告)
- ダイナミッククリエイティブ
- Advantage+ アプリキャンペーン
フリークエンシーキャップ(Frequency Cap):接触回数制限
フリークエンシーキャップとは、1人のユーザーに対して広告表示回数の上限を設定する機能のことです。
特定の広告が何度も同じユーザーに表示され予算が投下される自体を防ぐほか、ユーザーから「煩わしい」と感じられるようなケースを防ぐために用いられます。
特定のユーザーに何度も広告が露出されなくなることにより、結果的に広告のリーチが広がることもあります。
リーチ
リーチとは、広告に接触したユニークユーザー数を一般的に指します。
キャンペーン期間中に1回以上広告を見たユーザーの総数を指す場合もあるため、取り扱う場合はリーチの定義について確認が必要となります。
認知拡大を目的としたキャンペーンの主要 KPI などに使われることもあるほか、フリークエンシーなどとあわせて、認知施策が有効に機能しているかなどを管理画面上の指標で判断する際などに、用いられることがあります。
IS(Impression Share):インプレッションシェア
IS(インプレッションシェア)とは、獲得可能だったインプレッション総数に対して、実際に獲得したインプレッションの割合です。
IS(%) = (獲得したインプレッション数 ÷ 獲得可能だったインプレッション総数) × 100
潜在的な広告表示機会の把握ができ、予算や入札価格を調整するための指標として利用します。
ブランドリフト(Brand Lift):ブランドリフト効果
ブランドリフトとは、広告キャンペーンによるブランド認知度や好意度、購入意向などの向上度合いのことです。
Web 広告領域おいて「ブランドリフト(調査)」という言葉を用いる場合、おもに動画広告などの効果計測時に用いられる調査ツールを示すことが多く、一定以上の広告出稿を条件に Google や Meta が提供を行っています。
オフライン広告においてもブランドリフト(調査)は計測されることが多いため、実際の広告現場においては「ブランドリフト」が意味するものが何であるのか、しっかりと認識をすり合わせておく必要があります。
広告想起率
広告想起率とは、広告を見たユーザーが、後からその広告を覚えている割合を指す指標です。
ブランド認知度やメッセージの浸透度を定量的に把握する際に役立ちます。
主にブランディング施策の効果検証や、クリエイティブの印象度を測定する際に用いられる指標です。
モニタリング
モニタリングとは、Google 広告において、任意のユーザーへの広告配信結果を確認できるようにする設定のことを指します。
- 「スポーツウェア」のカテゴリをモニタリング設定
- 広告を配信(すべてのユーザーに広告が配信される)
- 「スポーツウェア」のカテゴリに関心があると媒体に判断されたユーザーへの配信結果や成果が確認できる
ターゲティングの場合、広告を表示するユーザーを絞り込むことになりますが、モニタリングの場合は配信先を限定せず、設定したユーザーを含む、多くのユーザーに広告が配信されます。
マッチタイプ
マッチタイプとは、リスティング広告において、どのような検索クエリに対して広告を表示するかを指定する際に用いる、キーワードのタイプを示します。
マッチタイプには、以下の3種類があります。
- 完全一致
- フレーズ一致
- インテントマッチ(Googleを除き、部分一致)
計測・解析ツール関連用語
効果的な広告運用には、適切な計測と分析が欠かせません。
以下では、主要な計測・解析ツールに関する用語を解説します。
GA4(Google Analytics 4):Googleアナリティクス4
Google が提供する Web アクセス解析ツールの名称です。
以前はユニバーサルアナリティクス(UA)、有料版にあたる UA360 が広く利用されていましたが、現在それらのデータ処理は終了しており、広く GA4 が利用されています。
またより多くのヒット数を処理できるほか、サポート機能などが兼ね備えられている GA4 360 という有償のモデルも用意されています。
GTM(Google Tag Manager):Googleタグマネージャー
GTM(Google Tag Manager)とは、Webサイトやアプリに様々なタグ(トラッキングコード)を管理・配信するためのタグや変数、トリガーなどを管理できるシステムを示します。
サイトのコードを直接編集せずにタグの追加・変更・削除ができます。
また GTM には Google タグマネージャ 360 というモデルも用意されており、これは GA4 360を契約することで利用可能なものとなっています。
ヒートマップツール
ヒートマップツールとは、ユーザーの Web サイト上での行動(クリックやスクロール、マウス移動など)を視覚的に表示するツールのことです。
色の濃淡などで、ユーザー行動度合いを可視化し、確認することができます。
グローバル展開されている、代表的なヒートマップツールには、以下のようなものがあります。
- Clarity:Microsoft 社が提供する無料で使えるヒートマップツール
- Ptengine:株式会社Ptmind が提供する Web サイト最適化ツール
Clarity は Microsoft が提供する完全無料で使用可能なヒートマップツールです。
クリック、スクロール、アテンション、エリアヒートマップ、コンバージョンマップ機能を兼ね備えつつ、セッションレコーディングにも対応しています。
より詳しく知りたい方は関連記事をご覧ください。
トラッキング
Web サイトやアプリでのユーザー行動を計測・記録する仕組みを指します。アクセス解析や広告効果測定の基盤となります。
代表的なトラッキングの仕組みには、以下のようなものがあります。
トラッキング名称 | 詳細 |
---|---|
Cookie トラッキング | ユーザーのブラウザに Cookie(小さなテキストファイル)を保存し、再訪やセッション継続を識別する |
JavaScript トラッキング | Webページに設置した JavaScript コードが、ページ閲覧やボタンのクリックなどのユーザーアクションをリアルタイムで計測する |
ピクセルトラッキング | 1×1ピクセルの透明画像を Web ページやメールに埋め込み、画像リクエストの発生をサーバー側で記録してユーザー行動を把握する |
サーバーサイドトラッキング | サーバーのアクセスログや API 呼び出し結果などをもとに、ユーザー行動を計測する |
アプリトラッキング | SDK(Software Development Kit)をアプリに組み込み、アプリ内の画面遷移やボタンタップなどの行動を記録 |
コンバージョントラッキング:広告経由でのコンバージョン(申し込み、購入など)を計測する仕組み
アドフラウド
アドフラウドとは、悪意のある第三者が不正な手段を用いて広告費を詐取する行為を指します。
アドフラウドが生じると、下記の図のように悪意をもった第三者が詐欺用のアプリや Web サイトを用意し、広告のシステムを悪用することで広告費が詐取されるといったケースが生じます。
これにより広告主は成果判断などを見誤り、正しく広告投下ができなくなることによって、成長を阻害されることがあります。

キーマケLab の調査によると、1年以上の広告運用経験がある事業会社、支援会社の担当者300名のうち、アドフラウド被害を受けたことが「ある」と回答したのは全体の58%で、約6割近くが被害を過去に経験しているという結果が出ています。

そのため「アドフラウドに関しては1度は遭遇するものである」と考え、認識しておくと良いでしょう。
また、そのような確率で今後遭遇することを加味し、下記のような必要最低限の知識は身につけておくべきでしょう。
- そもそもどのようなものなのか
- どのようにすれば被害に気付けるのか
- どのようにすれば被害を防げるのか
検索パートナー
検索パートナーとは、主に Google 広告における用語で、おもに Googleと提携し、広告や無料商品リスティングを掲載することができる検索ネットワークのサイト16を示します。
検索パートナーになることで、検索結果ページやサイト ディレクトリ ページ、ドメイン パーキング、ユーザーの検索に関連するその他のページに広告と(無料商品)リスティングの掲載が可能となります。
Google 以外にも、Microsoft 広告においても同義語として「検索パートナー」という言葉が用いられます。それぞれの代表的な検索パートナーは、以下の通りです。
検索パートナー(Google 広告) | 検索パートナー(Microsoft 広告) |
---|---|
goo | CBS |
nifty | DuckDuckGo |
Infoseek | Forbes |
Yahoo!広告においては別名で同様のしくみがあり、「Yahoo!広告ネットワークパートナー」と呼ばれています。同様に Bing や excite などといったサイトとパートナーシップを構築しています17。
キャンペーン作成時、デフォルトでオンとなっているため、配信先として除外したい場合、オフにする必要があります。
グロス / ネット
グロス / ネットとは、広告費の計上方法を示す用語です。
代理店を通じて広告を出稿する場合、見積書や請求書に「グロス費用」「ネット費用」が記載される場合があります。
用語 | 詳細 |
---|---|
グロス | 代理店手数料を含む総額 |
ネット | 代理店手数料を除いた純粋な広告掲載費用 |
いずれも、広告費用に関する会議や見積書などを取り扱う際には、注意が必要な用語です。
マージン、フィー(Fee):広告代理店が広告主から受け取る手数料のこと
キックバック
キックバックとは、広告取引の過程で、代理店や広告プラットフォームなどを通じて発生した費用の一部が、媒体社や別の事業者などから払い戻される行為、および受け取る金銭そのものを示します。
【まとめ】実務で知っておきたいWeb広告用語・略語図鑑
Web 広告業界では、本記事で解説した用語や略語が日常的に使われています。
これらを理解することで、広告運用の基本的な流れや効果測定の考え方を押さえることができます。
特に冒頭で解説した以下の用語は使用する頻度も多いので、似たような略語にはなりますが、正しく理解しておきましょう。
- Imp(インプレッション)
- Click(クリック)
- CTR(クリック率)
- CPC(クリック単価)
- CV(コンバージョン)
- CVR(コンバージョン率)
- CPA(コンバージョン単価)
Web 広告に携わる担当者の共通認識として用語を理解しておくことで、日々の業務がスムーズになります。
また冒頭でお伝えした、特に「インプレッション」や「クリック」などの指標は単純そうに見えても奥が深く、ぜひ興味を持たれた方はご自身でも深掘りし、周りの方に仕組みや構造を説明できるようになると、とても素敵だと思います。
- LINEヤフー for Business における記事「インプレッションとは? 重要な理由、関連指標や増やす方法を紹介」内「主なインプレッションの数え方」において詳しく言及されています。 ↩︎
- OSTベースとは、実際に広告が表示された際に「表示された」と通信を行う計測手法であり、計測には JavaScript が用いられるものになります。 ↩︎
- Apple Search Ads のように「クリック」という概念が存在しない場合、クリック数、クリック率の代わりにタップ数、TTR(タップ率)といった指標が用いられることがあります。Apple Search Ads における用語について、詳しくは下記リンクをご参照ください。
https://ads.apple.com/jp/app-store/help/reporting/0023-reporting-options-and-definitions ↩︎ - 「実際に現場においてクリック率を重視するあまり、手段が目的化するケースが往々に存在するのかどうか」については議論の余地がある一方、2009年にニールセンはそうした前提を踏まえた上で「Is The Ad Biz Through With Click Through」というレポートを公開し、当時話題となりました。レポートの中では、クリック率と投資対効果(ROI)には相関性がほとんどない点について、データをもとに指摘されています。ただしこれは Meta 広告などの CPM 課金型 Web 広告が台頭する前のデータであるという点について、留意する必要があります。 ↩︎
- 広告が実際にクリックされる、もしくはタップされる際に生じる費用は、必ずしも入札単価のみによって決まるわけではありません。例えば性別や年齢、時間帯による配信の強弱設定がされている場合、それらも加味した上で入札単価は上下します。 ↩︎
- Yahoo!に関してはヘルプ上で「検索広告(ショッピング)について」と明記しているため、Yahoo!広告に関しては含まれると認識されている方も一定存在している可能性があります。 ↩︎
- 2022年2月号【No.114】(2022年2月15日発行)「特集 アフィリエイト広告をめぐる問題」参照。全文が国民生活センターで公開されており、PDFで閲覧可能です。
https://www.kokusen.go.jp/pdf_dl/wko/wko-202202.pdf ↩︎ - 例外もあります。例えば、広告代理店に出稿を依頼する場合、広告アカウントの最上部にMCCアカウントが位置付けられている場合があります。また Meta 広告の場合など、広告アカウントの上部にビジネスマネージャが存在します。また旧 AdWords Express や P-MAX のように、そもそも構造がイレギュラーなケースも存在します。 ↩︎
- 本文中で解説するか悩みましたが(そしてやめました)脚注には記載しておこうと思います。かつてMeta 広告(旧Facebook広告)はパワーエディタと呼ばれるツールをオンライン上で提供していました。名称からして他キャンペーンエディターと同じように扱ってしまう可能性もあるかもしれませんが、これはまったく別物で、ブラウザ上でのみ機能するものでした。当時はデイリーで広告を再入稿しなければインプレッション(imp) が落ち込んでしまうなどといったことが起きていたため、各広告運用者は連日大量にキャンペーン複製などを行っており、キャンペーンエディターが必要とされていました。しかし、関連度スコアの廃止による連日の作業不要化に伴い必要性がなくなり、通常の管理画面に併合され、消失しました。 ↩︎
- 類似配信や配信の拡張によって、実態としては過去サイトに流入していないユーザーに対して広告配信される場合もリマーケティング、リターゲティングと呼ばれます。 ↩︎
- こちらの記事でも詳細言及しています。広告媒体の公式ヘルプ上では Google に関してはリマーケティング(広告主様のデータ、広告主様のデータ セグメントとも扱われます)Microsoft 広告ではリマーケティングが使用され、他媒体(Metaなど)においてはリターゲティングと表記されるケースが一般的です。 ↩︎
- 公式ヘルプ上では「広告主様のデータ セグメント」と記載されるなどしているが、一般的に広告運用の現場では「リマーケティング」が使用されるケースが多いです。 ↩︎
- 詳しくは下記記事をご参照ください。
オーディエンスリストとは – ヘルプ – Yahoo!広告
https://ads-help.yahoo-net.jp/s/article/H000044833?language=ja ↩︎ - セッションベースで確認したい場合、「セッションの参照元」「セッションのメディア」「セッションのキャンペーン」「セッションの手動キーワード」「セッションの手動広告コンテンツ」などをディメンションに設定し、値として「セッション」を設定すると、確認ができるようになるはずです。また、本文中でも説明している通り「セッションの参照元 / メディア」を使うことにより、参照元とメディアを同時に確認することも可能です。 ↩︎
- 次のヘルプを参照し記載しています。参照元:広告疲れに関するMeta広告マネージャでのアドバイス | Metaビジネスヘルプセンター
またこれは個人の見解ですが、広告疲れは特にデバイスを限定化させると(特にスマホへの配信を止めると)生じやすい事象となります。
↩︎ - Google 広告公式ヘルプ上の「検索パートナー: 定義 – Google 広告 ヘルプ」を参照しつつも、「検索パートナー」という単語は Microsoft 広告上でも用いられるため、アレンジして表現しています。 ↩︎
- 詳しくは「Yahoo!広告 ネットワークパートナー|LINEヤフー for Business」に記載ある通りです。
↩︎