キーマケLabでは先日、クラウドワークスを活用して、20代から70代の1,498名を対象に「偽広告との接触や直近の視認頻度」に関するアンケート調査を行いました。
本記事ではそちらの調査結果について解説いたします。
そもそも偽広告(ニセ広告)とは
偽広告とは、現在日本をはじめオーストラリア1などでも問題になっている、ソーシャルネットワーキングサービスその他交流型のプラットフォームサービスにおいて、個人又は法人の氏名・名称、写真等を無断で利用して著名人などの個人または有名企業や機関になりすまし、投資セミナーや投資ビジネスへの勧誘などを個人や法人2に対して図る広告34のことです。
昨年日本でもこれらの事象が問題視され、結果自民党内で「著名人にせ広告・なりすまし等問題対策ワーキングチーム」が発足、提言が岸田文雄総理(当時)に提出されるなどしたことで、たびたび話題にもなりました。
警視庁は2024年12月時点で、これらの広告による詐欺被害とダイレクトメッセージによって投資を持ち掛けられる詐欺のことを総称し、「SNS型投資詐欺」と区分し詳細なデータを毎月公開しています。
直近でも、令和5年1月~令和6年11月までの詐欺被害額が794億円を超えていること、認知件数が約6,000件に達していることがメディアなどでも話題となっています。
「偽広告との接触や直近の視認頻度に関するアンケート調査結果」のサマリー
アンケート調査結果のサマリーについてですが、次の通りです。
- 「偽広告」「投資詐欺広告」について、37.4%が見たことが「ある」と回答
- 偽広告・投資詐欺広告の視認率(性別別)について、特に男性の方が「ある」の回答割合が高い結果に(41.3%)
- 偽広告・投資詐欺広告を見たことが「ある」と回答した方(560名)に対して、「直近2~3か月は見かける頻度も落ちていますか?」と質問したところ、最多の回答が「変わらない」で44.8%、次点が「やや減った」で36.3%、「すごく減った」で9.8%
調査対象のサンプルについて
調査対象である1,498名の性別、年代についてですが次の通りです。
Q1.架空の投資商材への勧誘などを促す、世間一般で「偽広告」「投資詐欺広告」とも呼ばれているようなWeb広告を直近1年半で見たことがありますか?
「架空の投資商材への勧誘などを促す、世間一般で「偽広告」「投資詐欺広告」とも呼ばれているようなWeb広告を直近1年半で見たことがありますか?」という質問に対して、37.4%が「ある」と回答。
“37.4%が「ある」と回答”という回答について、「少ない」と感じる方も多いかもしれません。
しかし、そもそも「偽広告」「投資詐欺広告」と見破れていない5方も一定存在している可能性があるため、その点についても留意しデータを見る必要があります。
「偽広告」「投資詐欺広告」の視認経験(年代別)
「架空の投資商材への勧誘などを促す、世間一般で「偽広告」「投資詐欺広告」とも呼ばれているようなWeb広告を直近1年半で見たことがありますか?」という質問に対して、「はい」「いいえ」と回答した方の性別別のデータですが、次の通りです。
結果、特に男性の方が「ある」の回答割合が高い結果に。
実際の詐欺被害にあっている人の性別も男性の方がやや多く、ある程度の相関性があることが伺えます。
ただし、上記「令和6年11月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」のデータには、ダイレクトメッセージによる投資被害も含まれています。
Q2.【偽広告・投資詐欺広告を見たことが「ある」と回答した方のみ】直近2~3か月は見かける頻度も落ちていますか?
偽広告・投資詐欺広告を見たことが「ある」と回答した560名に対してのみ、「直近2~3か月は見かける頻度も落ちていますか?」と質問したところ、最多の回答が「変わらない」で44.8%。次点が「やや減った」で36.3%、「すごく減った」で9.8%。
前述「著名人にせ広告・なりすまし等問題対策ワーキングチーム」以外にも、総務省による「SNS 等におけるなりすまし型「偽広告」への対応に関するヒアリング」の実施および、「SNS等におけるなりすまし型「偽広告」への対応に関する要請の実施」を2024年6月末に実施しています。
その影響もあり、認知件数および被害額は、おおむね低下傾向にあります。
また警視庁も、特設ページ「SNS型投資詐欺」を2024年に新設、手口や事例、被害者に関する情報を掲載し注意を呼び掛けるなどしています。
そしてこれらの動きがメディアなどで報じられることで周知などされ、取り組みが総合的に作用し被害が減少傾向にあります。
アンケート調査結果概要
・調査対象:20代から70代を対象とした1,498名
・調査期間:2024/12/26~2025/1/8
・調査対象:1,498名
・調査方法:インターネット調査(クラウドワークス)
同サンプル対象に対して同時に実施したアンケート調査結果
本アンケート調査結果の取り扱いについて
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(例)「出典:キーマケLab」など
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担当:川手
- 2023年中旬以降日本でも注目されるようになって偽広告ですが、2023年以前よりオーストラリアなどでは問題になっていました。現地では「’celeb bait’ scam ads(セレブを釣る偽広告)」とも呼ばれているようです。https://www.accc.gov.au/media-release/accc-takes-action-over-alleged-misleading-conduct-by-meta-for-publishing-scam-celebrity-crypto-ads-on-facebook ↩︎
- 諸メディアの報道においては、被害者=個人として取り扱うものが多く散見されますが、警視庁が発表している「令和6年11月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」内「SNS型投資詐欺の被害発生状況」を確認する限り、詐欺被害の内訳を見ると法人も含まれていることから(5社)キーマケLab で記載する場合は啓蒙の意味も込めて、法人も含む形で定義しています。 ↩︎
- 総務省は「ニセ広告」について、次のように定義しています。”ソーシャルネットワーキングサービスその他交流型のプラットフォームサービス(SNS等)において、個人又は法人の氏名・名称、写真等を無断で利用して著名人等の個人又は有名企業等の法人になりすまし、投資セミナーや投資ビジネスへの勧誘等を図る広告”
ただし注意しなければならない点として、総務省は「個人又は有名企業等の法人になりすまし」と定義していますが、実態としては金融庁が注意喚起しているように、「日本証券業協会」などの(自主規制)機関を名乗る場合もあるため、キーマケLab にて記載する際は「機関」も追記しています。https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/nisekoukoku.html ↩︎ - 経済産業省は次のように定義しています。”ソーシャルネットワーキングサービス、その他交流型のプラットフォームサービス(以下「SNS等」という。)やインターネット検索サービス、インターネットメディア等に表示されるデジタル広告で、個人又は法人の氏名・名称、写真等を無断で利用して著名人の個人又は有名企業等の法人になりすまし、投資セミナーや投資ビジネスに勧誘等を図る広告”
ただし注意しなければならない点として、経済産業省は定義の中に「インターネット検索サービス、インターネットメディア等に表示されるデジタル広告」と定義していますが、警視庁が発表している「令和6年11月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」内「被害者との当初の接触手段」における「バナー等広告」を見る限りにおいても、を確認する限り、実態として「インターネット検索サービス」で詐欺被害に遭っているケースは「その他」を含めても全体の5%以下であることが想定されるため、定義の中に優先的に含まれるべきかどうかについては議論の余地があります。そのため、キーマケLab にて詐欺広告について定義を記載する際は「インターネット検索サービス」を定義から外しています。 ↩︎ - 『デジタル空間上のなりすまし広告の実態把握と検知手法の検討 : Meta におけるなりすまし投資広告を事例として』において、偽広告には特有の類似文面の使い回しがみられることが指摘されている。 ↩︎