Chrome におけるサードパーティCookie の廃止撤回および Cookie 規制に関する調査結果

Web広告メディア「キーマケLab(キーマケラボ)」を運営するベクトルデジタルは、Cookie規制に関する質問に回答可能と答えた事業会社のマーケティング担当者307名を対象に「Chrome におけるサードパーティCookie の廃止撤回および Cookie 規制に関する調査結果」を実施いたしましたので、その結果を発表いたします。

目次

調査結果(サマリー)

調査結果のサマリーですが、以下の通りです。

  • そもそもファーストパーティ Cookieとサードパーティ Cookieの違いについて、「全く理解していない」が26.4%
  • Chrome におけるサードパーティCookie の廃止方針を撤回について、約半数(48.2%)が「賛成」と回答
  • Chrome におけるサードパーティCookie の廃止撤回がもたらす影響について、「十分に理解している」「やや理解している」が全体の約半数(47.9%)を占める結果に
    • 一方で「あまり理解していない」「全く理解していない」は39%

Q1. あなたはファーストパーティ Cookieとサードパーティ Cookieの違いについて、十分に理解していますか

「 あなたはファーストパーティ Cookieとサードパーティ Cookieの違いについて、十分に理解していますか」という質問に対して、「十分に理解している」が23.1%、「やや理解している」が26.4%とある一方、「全く理解していない」が26.4%

マーケティング担当者の4人に1人はファーストパーティ Cookieとサードパーティ Cookieの違いについて「全く理解していない」実態が明らかに

Q2.2024年7月に Chrome におけるサードパーティCookie の廃止方針を撤回すると発表がありました。今回の廃止撤回に関する賛否を教えてください

「Chrome におけるサードパーティCookie の廃止方針を撤回に関する賛否」について尋ねた結果、「非常に賛成」19.5%「やや賛成」28.7%と「賛成」が全体の約半数(48.2%)を占める結果に。

Q3. Q2で「非常に賛成」「やや賛成」と回答した方にお聞きします。サードパーティCookie の廃止撤回に賛成の理由を教えてください(複数回答)

「Chrome におけるサードパーティCookie 廃止撤回に賛成の理由」について尋ねた結果、最も多かった理由が「現在の広告・マーケティング手法を維持できるから」が59.46%で最多に。次点が「ユーザー行動の追跡が容易なままで済むから」で52.70%、「パーソナライズされた広告配信が維持可能だから」が41.22%。

Q4.Q2で「やや反対」「非常に反対」と回答した方にお聞きします。サードパーティ Cookieの廃止撤回に反対の理由を教えてください(複数回答)

「サードパーティCookie の廃止撤回に反対の理由」としては、「ユーザーのプライバシー保護が難しくなるから」が最多で50.00%。次点が「業界全体の技術革新が妨げられるから」が40.63%、「新しい広告技術への移行が遅れるから」が18.75%。

Q5.Chrome におけるサードパーティCookie の廃止撤回がもたらす影響について、十分に理解できていますか

「Chrome におけるサードパーティCookie の廃止撤回がもたらす影響について、十分に理解できていますか」という質問に対して、「十分に理解している」「やや理解している」が全体の約半数(47.9%)を占める結果に。一方で「あまり理解していない」「全く理解していない」は39%。

Q6. Q5で「十分に理解している」「やや理解している」と回答した方にお聞きします。サードパーティ Cookieの廃止撤回が実際のマーケティング施策にどのような影響を与えると思いますか(複数回答)

「サードパーティCookieの廃止撤回が実際のマーケティング施策にどのような影響を与えると思いますか」という質問に対して、「リターゲティング広告の効果が維持される」が最多で52.38%。次点が「広告効果測定の精度が維持される」で51.70%、「ユーザーの行動分析がより詳細に行える」が48.30%。

Q7.Chrome のサードパーティCookie 廃止撤回によって、現在のマーケティング方針を変更しましたか

「Chrome のサードパーティCookie 廃止撤回によって、現在のマーケティング方針を変更しましたか」という質問に対して、「すでに変更した」は8.5%、「今後変更する予定」は27.4%ある一方、「特に変更は予定していない」は36.8%

Q8.Q7で「すでに変更した」「今後変更する予定」と回答した方にお聞きします。具体的にどのような変化があったか、または今後予定されているか教えてください(複数回答)

「Chrome のサードパーティCookie 廃止撤回によって、現在のマーケティング方針を変更しましたか」という質問に対して、「すでに変更した」「今後変更する予定」と回答した方に「具体的にどのような変化があったか、または今後予定されているか教えてください」と質問した結果、「サードパーティCookieを活用した広告戦略の継続」が最多で57.27%。次点が「プライバシーに配慮した代替技術の併用」で48.18%、「コンテキスト広告への注力」で40.91%。

Q9.結果的に今回廃止撤回となりましたが、Chrome におけるサードパーティCookie 廃止に向けた、現時点での対策の進捗度合いを教えてください

「Chrome におけるサードパーティCookie 廃止に向けた、現時点での対策の進捗度合いを教えてください」という質問に対して、「完全に対策済み」は7.2%、「ある程度対策済み」「一部のみ対策済み」が34.8%である一方、「まだ対策していない」は28%

調査結果に対するYuwai株式会社 田中氏からのコメント

Chrome におけるサードパーティ Cookie 廃止撤回がもたらす影響について、十分理解できている担当者が約半数いる一方で、そのうち「広告測定の精度が維持される」点について「影響がある」と認識している担当者が半数いらっしゃることが興味深いです。

iOS の ITP により、多くの広告媒体はファーストパーティ Cookie や Cookie に依存しない計測方法に切り替わっているため、サードパーティ Cookie の廃止は広告の効果測定に影響することはほぼありません。

つまり、ファーストパーティ Cookie とサードパーティ Cookie の違い、広告効果の測定に関して実は正しく理解できていない担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。

正しい理解のもとでマーケティング活動を進めるため、改めて経緯や仕組みに関する情報整理の機会がより必要なのではないかと感じました。

プロフィール

国立小山工業高等専門学校卒

日本放送協会で放送エンジニアとしてキャリアをスタート、後にキャリアチェンジでインターネット広告の世界に飛び込む。

大手インターネット専業の広告代理店で約3年の勤務を経て、フィードフォースグループ株式会社(東証グロース)傘下のアナグラム株式会社にて創業期メンバー(第一号社員)として参画。同グループ傘下の株式会社フィードフォースの監査役も兼務しつつ11年8ヶ月従事し2023年8月に退職。後の2023年9月にYuwai株式会社を設立。

運用型広告の運用のほか、Google ショッピング(Google Merchant Center)、データフィード広告、Google タグマネージャー、Google アナリティクスなどマーケティング関連プラットフォームの活用に強みをもつ。

Yuwai株式会社 – デジタルマーケティングを支援する会社
https://yuwai-inc.jp/

著書
いちばんやさしい「新版」リスティング広告の教本』(インプレス社/2018年10月19日発売)

いちばんやさしいはじめてのGoogle広告の教本」(インプレス社/2024年8月26日発売)

田中 広樹
Yuwai株式会社
代表取締役
X @hyroki1980

Yuwai株式会社

Yuwai株式会社は主にデジタルの力を活用したマーケティング活動のお手伝いを行います。インハウス運用、広告代理店の担当者向けの「デジタルマーケティング支援サービス」、運用型広告の運用をまるっとおまかせしたい方向けの「運用型広告の運用代行サービス」、Google Merchant Centerの運用にお悩みの方向け「Google ショッピングの支援サービス」などを提供しています。

https://yuwai-inc.jp/

調査結果に対する株式会社イルグルム Antoine Bourlon(アントワーヌ・ボーロン)氏からのコメント

昨今、ファーストパーティ(1P)クッキーがサードパーティ(3P)スクリプトによって設定されたり、代替技術では関連サイトの3Pクッキーを1P扱いにできたりと、区別が曖昧になっています。

理解が追いつかなくても仕方ない状況ですが、媒体や計測ツールは細かい技術仕様の変化を吸収してくれるので、ツールの推奨設定に従えば、計測・配信精度はある程度維持できるはずです。

一方で、個人のトラッキングに対しては、3Pクッキーを廃止しても、代替技術では今までと同様に個人を追跡した計測やリタゲも可能であるため、本質的なプライバシー課題に変わりありません。

技術を問わず、ユーザへの周知や同意取得が必要か、同意を必要としない文脈広告に注力するか、どのサイトに配信するかを把握して、厳しくコントロールすることの方が重要になってきています。

上記課題には、Q8に挙がっている対策(1P/3Pデータの併用、同意管理、文脈広告)がマッチしていますが、対応を進める担当者が少数派になっているのが懸念です。

プロフィール

フランスの大学でネットワーク・分散システムを専攻。

2002年に留学で来日し、インターンシップを経て通信技術の研究所でネットワークシミュレータや翻訳システムの開発に従事。

ネット経済を支えるアドテックと自社製品開発に憧れ、2016年に株式会社ロックオン(現イルグルム)入社。翌年のITP発表をきっかけに計測技術とトラッキング防止技術の動向、プライバシー関連の規制、ブラウザの最新仕様を研究し、自社製品(アドエビス、CAPiCO)に反映する提案と開発をメインに取り組んでいる。

X https://x.com/kyotonio
Bluesky https://bsky.app/profile/kyotonio.bsky.social

Antoine Bourlon
(アントワーヌ・ボーロン)
株式会社イルグルム
メジャメント研究室
R&Dエンジニア
X @kyotonio

株式会社イルグルム

イルグルムは、データとテクノロジーによって世界中の企業のマーケティング活動を支援し、売り手と買い手の幸せをつくる、マーケティングテクノロジーカンパニーです。

広告効果測定プラットフォーム『アドエビス』、ECオープンプラットフォーム『EC-CUBE』をはじめとした各種サービスを展開し、企業理念である「Impact On The World」のもと、新しい価値の創造に取り組んでいます。

https://yrglm.co.jp/

・広告効果測定ツール「アドエビス」
https://www.ebis.ne.jp/

・コンバージョンAPIツール「CAPiCO」
https://www.capi-co.net/

調査概要

・調査対象:Cookie規制に関する質問に回答可能と答えた事業会社のマーケティング担当者307名
・調査期間:2024/10/7~10/9
・調査対象:307名
・調査機関 :株式会社IDEATECH

本調査結果の取り扱いについて

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担当:川手

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