「事業会社が広告運用者を中途採用するハードルは年々上昇している」と言っても、決して過言ではありません。
例えば、キーマケLabの調査結果によれば、「お勤め先の企業では、広告運用できる人材の採用難易度が上がっていますか」という質問に対して、「非常に上がっている」が20.3%、「やや上がっている」が38.6%と回答していることから、各社の広告運用人材の採用についての苦戦状況が伺えます。
「…なぜ、採用がうまくいかないのか?」
その点についても理由を確認したところ、「市場にいい人材がいないため」「自社の採用基準が上がっているため」といったものが上位にあがってきており、そもそも市場にそれほど多くない、高い能力を兼ね備えた広告運用者を企業が求め合っている状況であるということが伺えます。
また現実的に採用するにしても、「広告運用者を1人採用するとなると、一体どの程度費用がかかることになるのか?」についても考慮しておく必要があります。
株式会社Shirofune による「Web広告運用人材の年収と採用難易度」に関する実態調査によると、経験年数2〜5年目程度の実力がある方で平均年収は550万円、5〜10年目程度の実力がある方で750万円、10年目〜程度の実力がある方で916万円であったことを公開しています。
「どの程度の実力を持った広告運用者に自社の仕事をお願いしたいか」によっても求める層は変わってくるかもしれませんが、一定の結果を期待できる広告運用者を採用したいとなると、最低でも年収500〜600万円程度を見積もっておく必要があるのではないかと考えられます。
会社によっては、そもそもそのような情報を勘案する限り「そもそも広告運用者を採用するの、無理では…」と結論を出さざるを得ないケースも少なくないかもしれません。
しかしながら、そういった様々な制約下においても、実際に優秀なマーケティング担当者や広告運用者の中途採用を実現している企業は多く存在しています。
本日はアナグラム株式会社で広告運用・マネジメント・人事を担当したのち、事業会社でマーケティング責任者、広告運用者を含め複数のポジションの採用を経験し、現在は「人と事業を育む土壌になる。」という理念のもと、マーケティング支援会社・SOIL合同会社を立ち上げた秋山氏@yutaro_akiyamaと共に、広告運用者を中途採用がうまく進んでいる事業会社がどういったことに注力しているのか、どのようなことを考えながら採用活動に取り組んでいるのかについて解説していきます。
早稲田大学卒業後、新卒でアナグラム株式会社に入社。運用型広告のコンサルティング・マネジメント・人事に携わる。その後、事業会社でのマーケティング責任者を経てSOIL合同会社を創業。マーケティング総合支援・広告運用代行・採用支援を展開中。
SOIL合同会社 https://soilmkt.jp/
秋山 侑太朗(あきやま ゆうたろう)
SOIL合同会社 代表
X @yutaro_akiyama
「そんな基本的なこと…」と思われるものも多いかもしれません。
しかし、基本すぎるゆえに盲点となり、しっかりと実施できて取り組みがネックとなり採用がうまくいっていないケースも多く存在します。
そのため、まずは基本的なものからしっかりと把握していきましょう。
事業会社が広告運用者を中途採用する際におさえておくべき13のポイント
ポイントについて解説していきます。全部で13あります。
(1)「求める人物像」の明確にする
「人材採用計画の策定」などが完了したのち、次に着手すべきは、「求める人物像」の明確化です。
採用したい人の人物像が不明確なまま、採用活動をすることはできません。
例えば、書籍『時間とお金をかけずに欲しい人材を集める「SNS採用」』の中では、求める人物像(書籍内では「求める人材」とも記載)を言語化すること、そしてそれを採用プロセスで進める中で、比較的早期に行うことの重要性について指摘しています。
採用には王道の流れがあります。まずはこの流れをしっかりと押さえましょう。
『時間とお金をかけずに欲しい人材を集める「SNS採用」』より引用
①人材採用計画の策定
②求める人材の定義
③最適な求人媒体と選考プロセスの設計
④母集団の形成開始
⑤選考活動開始
⑥内定の承諾の獲得
では、肝心の「求める人物像」はどのように考えるべきなのでしょうか。
会社や組織によって最適な考え方は異なりますが、ここでは一例として、書籍『これで採用はうまくいく ほしい人材を集める・見抜く・口説くための技術』において紹介されている、演繹的・帰納法的アプローチについて紹介します。
- 帰納的アプローチ
- 演繹的アプローチ
帰納的アプローチとは、実際に社内で活躍している人の行動や思考、性格を観察し、「どのような人物であれば活躍できるか」を言語化し、伝えるアプローチ手法です。以下の場合、有効なアプローチ手法です。
- 既に社内に「この人のような広告運用者がもっと必要だ」という広告運用者が具体的に存在している場合
- 社内に複数名すでに活躍している広告運用者がいる場合、もしくは活躍していた広告運用者が在籍していたことがある場合
演繹的アプローチとは、自社の業務内容や事業特性をもとに「どのような人物であれば活躍できるか」を伝えるアプローチ手法です。
下記のようなケースで用いられることがあります。
- まだ活躍している人材が社内にいない場合
- これから新規事業の立ち上げおよび人材募集を行う場合
- 現在採用している層とは違う層を獲得したい場合
演繹的アプローチの場合、理想ベースで話が進んでしまい、現実とのギャップに苦しむケースもあるかもしれません。
そういった場合は、厚生労働省が公開している「職業能力評価基準」などを参考にアプローチの内容に修正を加えたりしていくと理想の「求める人物像」をまとめることができるようになるはずです。
「職業能力評価基準」とは、仕事をこなすために必要な「知識」と「技術・技能」に加えて、「成果につながる職務行動例(職務遂行能力)」を、業種別、職種・職務別に整理したものです。平成14年度から、業種横断的な事務系職種のほか、電気機械器具製造業、ホテル業などものづくりからサービス業まで幅広い業種を整備しており、公的な職業能力の評価基準です。
「職業能力評価基準」より引用
そして、「帰納的アプローチ」と「演繹的アプローチ」の特徴をそれぞれまとめると、次のようになります。
帰納的アプローチ | 演繹的アプローチ |
---|---|
事実である | 推定にすぎない |
現実的 | 理想的 |
短期的視点 | 長期的視点 |
個別最適 | 全体最適 |
またこれらの情報を参考にしつつも、率直に「今、自社が求めているのはどんな広告運用者なのか」を言語化することを意識すると良いでしょう。
書籍『時間とお金をかけずに欲しい人材を集める「SNS採用」』では、次のようにも補足説明されています。
学歴や経歴など、履歴書に書ける情報だけでなく、一歩踏み込んだ視点で、「今、自社が求めているのはどんな人材か」を言葉にしてみてください。
『時間とお金をかけずに欲しい人材を集める「SNS採用」』より引用
(2)公式サイトに求人情報をしっかりと定性、定量情報を交え掲載
しっかりと求人を行っていく以上、自社の公式サイトに求人情報に関する情報をしっかりと定性情報と定量情報を交えて掲載する必要があります。
以下は、求人情報に関する、定性情報と定量情報の具体例です。
定性情報例 | 定量情報例 |
---|---|
求める人物像 | 業務時間(勤務時間帯) |
業務内容の概要 | オフィスの場所 |
勤務体系 | |
人材要件(必須スキルや経験、資格情報など) |
特に「人材要件」については、採用したい広告運用者を具体的にイメージし、具体的に求人票上で伝える工夫が必要となります。
広告運用者の場合、以下3つの経歴のパターンが多いかもしれません。
1.Web 広告代理店出身
2.事業会社出身
3.マーケティングスクール出身
「Web 広告代理店出身」であったとしても、フロントのみのディレクタータイプ、運用のみ(クリエイティブも触れないか、クリエイティブも触れるか2パターン)のオペレータータイプ、一気通貫タイプかで有しているスキルなども全く異なるため、自社で採用したい広告運用者を具体的にイメージし、「今回採用したいひとはこういうスキルや経験をもっている人」と定め、人材要件に明記しておくべきです。
また、求人サイト(ナビサイト含む)の会社紹介ページなどに同内容を掲載する場合などもあるかもしれません。
その場合、次のようなことが起こりがちです。
- 求人サイトから公式サイトへのリンク設置漏れ1
- 自社サイトの情報が古いままに(求人サイトの会社紹介ページだけ更新されている状態)
- エージェントの会社紹介ページの更新忘れ
- サービス解約などに伴うページ削除やリンク解除漏れ
これらのことが起こらないよう、しっかりと管理していきましょう。
コンテンツを公開した際はもちろん、定期的に「XXX(自社名) 採用」や、「XXX(自社名) 求人」などと検索し、どのような情報が検索結果画面上に表示されるのかは確認するようにしておきましょう。
仮にエージェントが自社を紹介してくれたとしても、求職者がそれらの言葉で検索した際に何も情報がヒットしなければ、もしくは誤った情報が掲載されたり、古い情報だけしか表示されなかった場合、その時点で自社が候補から消えてしまう可能性があります。
(3)採用手法や伝えたいことや媒体、優先順位を定める
次に、自社の採用手法や伝えたいこと、媒体や優先順位を定める必要があります。
話が少し外れますが、Google は2020年に調査会社ヴァリューズを用いた「オンライン上で何かしらのコンバージョン(契約した、申し込んだ、買ったなど)を起こした7,221 人のうち50人に対して実施した検索ログデータの最大2年分の読み解きと個別インタビュー」という調査を行い、次のような結論を導き出しています。
こうした調査や分析の結果からわかってきたことは、人の情報探索行動は、その商材がなんであろうと、まったくもって一本道ではないということです。当たり前のことですが、実はこれが大きな発見でした。
「情報探索行動の分析からみた購買行動の変化」より引用
人の情報探索行動はスピードの差こそあれ、徐々に購買という 1 点に向かっていくものだという前提が必要になります。
「情報探索行動の分析からみた購買行動の変化」より引用
転職活動においても、同様の現象が起きているのではないでしょうか。
1つの媒体の情報だけを参考に転職先を決めるというよりも、複数のチャネルを経由して複数回接触したのちに転職先や候補を絞り込んでいく広告運用者は多いのではないでしょうか。
先に理想論を言えば、「実現したい採用活動はすべて実行する」に越したことはありません。
しかし、現実にほとんどの企業の採用活動は、予算も人員も資金も時間も、限られた状況下で実現していく必要があります。
そのため、自社で最優先で取り組むべきものは何かを定める必要があります。
それを考えるためにも、優先順位を設定する必要があるのです。
では、採用に関するチャネル(メディア)とは、どのようなものが考えられるでしょうか。
例えば、青田努@aotatsutomu 氏の書籍『採用に強い会社は何をしているか』において、「採用に活用できるチャネル」を「採用に特化したチャネル」と「一般的なチャネル」にわけ、整理し紹介しています。
採用に特化したチャネル | 一般的なチャネル |
---|---|
採用サイト・アプリ | SNS(企業発信) |
自社採用ページ | SNS(個人発信) |
オウンドメディア・人事ブログ | Web 広告 |
自社開催イベント | マス広告 |
合同イベント | 屋外広告・交通広告 |
採用パンフ・冊子 | 紙 DM |
採用ノベルティ | 業界誌・業界向けメディア |
また『採用広報から、スカウト文章、面接術まで 「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』では「中途採用の打ち手のカテゴリー」と題し、大きく「求人媒体」「エージェント」「その他の打ち手」の3つにカテゴリーを分け、手法を分類し紹介しています。
求人媒体 | エージェント | その他の打ち手 |
---|---|---|
広告型媒体 | 一般紹介・登録型 | リファラル採用 |
運用型媒体 | サーチ型 | SNS採用 |
スカウト型媒体 | 紹介予約派遣 | イベント開催 |
求人誌 | ハローワーク | 広告出稿 |
これらのチャネルをどのように取捨選択し、取り組むのが最適解なのでしょうか。
例えば、いったん下記3つの項目(リソース・カルチャー・データ)を参照し、自社にあうものを選定してみるというのはいかがでしょうか。
リソース | カルチャー | データ |
---|---|---|
時間 | 企業文化 | 過去どのチャネルから入社した人が活躍しているか どの流入元から入ったユーザーのエンゲージメントが高いか |
人員 | 働いている人たちの雰囲気 | |
資金 |
例えば、マス広告や屋外広告・交通広告などを大々的に展開するほどリソース(時間・人員・資金)に余裕がない場合、業種的に合う求人誌がない場合、自然とそれらは選択肢から外れます。
逆にリソース(時間・人員・資金)が極端に限られている場合、どのようなアプローチが有効でしょうか。
書籍『時間とお金をかけずに欲しい人材を集める「SNS採用」』では、「『SNS』×『自社サイト』の最強の合わせ技」として紹介されており、以下理由から SNSと自社採用ページを上手に活用する手法が紹介されています。
『時間とお金をかけずに欲しい人材を集める「SNS採用」』の内容を要約し掲載
- 求職者向けナビサイトは初期費用、追加オプション費を支払わなければ求職者の目に触れられないケースが多い
- SNSで情報やコンテンツを発信することで、効率的に多くの人にリーチ可能
- SNSで情報やコンテンツを発信し、興味を持ってもらった人の受け皿となるコンテンツ(自社サイト)が必要
- 自社サイトなどにコンテンツを用意すれば、それらをリンク先に設定した広告配信なども可能
- 半数以上の候補者は事前に企業のホームページを閲覧する(調査結果から)
また付け加えるのであれば…
- ナビサイトは究極的に比較サイト同様に他求人情報と比較されやすい構造にあり、条件面などで比較され不利に働いてしまうこともある(逆に大手の場合、有利に働くことも)
- 自社採用ページに採用コンテンツを設置する形であれば、追加費用なしにGA4やヒートマップツールを用いてコンテンツの分析が容易に可能(一部外部サービスでも設置可能な場合も)
これらの点も、SNS×自社サイトが有効な手法である理由としてあげられるのではないでしょうか。
特に極力支出を抑えて採用活動を行いたい場合、屋外広告・交通広告、業界誌・業界向けメディアへの出稿などを展開するほどの予算的余裕がない場合、おすすめです。
また自社サイト(自社ドメイン)の利用が難しい場合、外部サービス(例.noteなど)を利用するというのも良いのではないでしょうか。2
上記したような分析作業が難しくなってしまう可能性もある一方、非常に使い勝手が良いエディターが利用可能な他、複雑な知識なしにでもコンテンツの制作や公開などが誰でも可能となります。
例えば、「広告運用者に効率的に SNS でリーチしたい」となった場合、昨今の SNS 上での情報発信の量などを見る限り、真っ先に「X(旧Twitter)」などを上げる方も多いかもしれません。
では、「X(旧Twitter)×自社サイト」で、採用活動を行うのが最適解なのでしょうか。
実際のところ、前述したように採用活動はさまざまなチャネルで行っていく必要があり、その限りではありません。
自分が広告運用者の採用を行なっていた時は、X(旧Twitter)もやりつつ、Greenをすごくこまめに更新していました。例えば、下記のような情報は特に更新していました。
・従業員数
・メンバー写真の更新(古い写真の削除など)
・掲載コンテンツの見直し
当時、Greenに採用ターゲットと合致する広告運用者の方が多かったので、そのように対応していました。
一般に、広告運用者が多くいる場所 = X(旧Twitter)というイメージを持たれている方も多いかもしれませんし、その考えも決して間違ってはいません。
しかし、それが全てではないですし、Xを見ている時に必ずしも転職を意識しているかというとそうでもないので、その点については留意しておくべきです。
採用活動を進めていく上では、このような「そもそも知らなかった…」といったことがないように情報収集をしつつ、自社が獲得したい転職顕在層・潜在層がどこに存在しているかを正しく理解し、取り組みに組み込んでいく必要があり、そのように取り組まなければ費用を無駄に捻出し続ける形が常態化してしまう危険性があります3。
そのため、はじめは複数の採用チャネルを試しつつも徐々にリソースを最適化させつつ、常にリソースに余裕を設けて「どこかに穴場のようなところはないか」と探るような取り組みを実施することも、他社よりも有利に採用活動を進める上で重要でしょう。
また「採用活動の精度を上げる取り組みとしての情報収集」という点で言えば、「直近転職してきた方にヒアリングする」というのも、有効な手段の1つです。
自分は、直近で転職されてきた広告運用者の方に「転職活動中にどのような媒体や人、アカウントをフォローして情報を得ていましたか?」と常に聞いていました。
確認することで「現状の採用に改善余地がないかどうか」と確認し必要に応じて改善するようにしていました。
主要な採用チャネルは策定しつつも、常に自社の採用活動が最適ではない可能性も考慮し情報を集めながら調整していく形が良いのではないでしょうか。
(4)採用ピッチ資料(求職者向け会社概要資料)を用意し常に最新の状態にしておく
転職者向けに「採用ピッチ資料」を作成しておくことで、イベント時に配布したり、面談時などに使用したりとオンライン・オフライン問わず、さまざまな用途で活用可能です。
次のような情報を明記しておくことをおすすめします。
『採用広報から、スカウト文章、面接術まで 「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』より一部引用しつつ加筆したもの
- 事業内容
- キャリアと給与
- 福利厚生
- 働き方
- 求める人物像
- 社員に対する調査アンケート結果
- 社員に関するデモグラデータ
- 給与以外で得られること(例.身につけられるスキル)
- 自社の課題
- これからの会社像
- よく聞かれる質問
またこれらの資料を採用ページに設置しておくことで求職者の目に触れるだけではなく、資料がひとり歩きし、円滑なリファラル採用の創出などにつながることにも期待が持てます。
そのため、資料はなるべく常にひとめに触れている可能性があることを念頭に置き、最新の情報に常に更新しておきましょう。
(5)リファラル採用を組織に浸透させる
採用に関する書籍は多く刊行されていますが、それらの書籍でほぼ必ず紹介されている手法が「リファラル採用」です。
ただそもそもリファラルとは、どのようなものなのでしょうか。さまざまな書籍を参照する限り、次のように定義することができるのではないでしょうか。
リファラル採用とは、自社従業員に知人・同僚などの人的ネットワーク4を介して、求職者を会社に紹介、推薦してもらう採用手法の1つ5。
旧来からの存在する「縁故採用」と類似したものと扱われることがあるものの全く異なるもの6で、社内のことを熟知している自社従業員が、優秀でかつ自社に合うと思われる人材を紹介するため、採用候補者の質と信頼性を担保できる上、採用コストを抑えられるなどの理由で広まった採用手法7。
特徴として、紹介者に入社時や入社までの会食などの手当を積極的に会社が支給し紹介の発生を誘うようなケースも多く、近年日本でも多くの企業が導入8。もともとはアメリカで盛んな採用チャネルで、2012年以降、アメリカでは最も人材獲得数が多い採用チャネルとして確立されつつあり、すでに企業の80%以上が導入している9。
採用候補者の質と信頼性を担保できる上、採用コストを抑えられるなど魅力的な手法であるリファラル採用ですが、書籍『時間とお金をかけずに欲しい人材を集める「SNS採用」』でも言及されている通り、多くの企業で採用に導入したとしても、リファラル組織への浸透に課題を抱えているケースは多いのではないでしょうか。
「人のつながり」が中心であるリファラル採用は、うまくいけば超低コストで、やればやるほど採用担当者も楽になる、魔法のような方法です。ただし、この方法は始めるまでと、軌道に乗るまでが大変です。
『時間とお金をかけずに欲しい人材を集める「SNS採用」』より引用、一部著者が強調表現を加筆
リファラルを導入させることももちろん重要ですが、大切なのはいかにリファラルを浸透させるか…ですね。
青田さんの書籍でも言及されている通り、特に近年リファラルを導入するケースも増えていますが、結果的に全然紹介が発生せず課題を持っている企業も多いように思います。
これらの点については、書籍『採用に強い会社は何をしているか』の中で、次の7つが対処法として紹介されています。
『採用に強い会社は何をしているか』より引用
- 紹介制度を周知徹底
- 定期的にリマインド
- 紹介インセンティブを強化する報酬を提供・増加
- 活動しやすくする知人(候補者)との飲食費支給
- 魅力を伝わりやすくする会社(データ・魅力)を語るためのツール・トークを準備
- 紹介する側の安心感を高める紹介してくれたら、面接は絶対に実施
- 求人要件への理解を深める求人票の記述を改善
しかしこれらをすべて実施することはリソース上難しい場合もあるほか、自社が求める広告運用者にあわせた最適化も必要となるはずです。
その場合、どのような取り組みを行うのが良いのでしょうか。
自分はかつて、事業会社において以下3つを行いリファラルの浸透がうまくいっているケースを見ていました。
その組織では、次の取り組みが行われていました。
- リファラルによる採用活動を称賛する文化の形成
- 全社ミーティングなどで社員個人ベースでリファラルの紹介件数や面談数、採用数などを紹介
- 紹介した社員、特に多く紹介した社員を全社ミーティングで称賛
- 費用対効果の説明
- 定期的にリファラルがどの程度採用にかかるコスト削減に貢献しているかを数値で説明
- 結果支出が減り、昇給原資などのような形で、既存従業員のプラスにも作用していることを説明
- 定期的にリファラルに関してアナウンス
- Slackなどで定期的にリファラルについて周知
- 採用を他人事ではなく全社の課題、取り組みであることを伝える
優秀なセールスやエンジニア、マーケター、そして広告運用者も、基本的に早い者勝ちの争奪戦です。
「リファラルがうまくいっている会社 = 人脈お化けみたいな人が多い」と思われがちかもしれませんが、より多くの候補者とより早く接点を持てるようリファラル文化を浸透させることが何より大事です。
このように募集する職種にあわせて独自に有効な取り組みを複数実施できると理想的です。
またリファラル事例をコンテンツ化しておき、Web 上に掲載しておくというのも有効な手法の1つです。
前述した通り、リファラルを行う企業は増えている一方、外側から見ると社外的には「リファラルを行っていること」がわかりにくいケースも多く、また「リファラル選考中の方が読むコンテンツ」として先行事例を知ることができた方が良いため、リファラル事例記事はすでにリファラルが発生している場合は用意することをオススメします。
そして注意すべきは、リファラル導入時の社内への説明です。
以降、リファラル採用に関する法律関連の情報記述が続きます。
本記事におけるリファラル採用に関する記述はあくまで情報提供目的に作成されており、法的助言、推奨を目的とするものではございません。
実際に社内でリファラル採用を実装する場合は専門家の助言のもと、読者様ご自身の責任のもと実施いただきますようお願いいたします。
「リファラルに関連し当該従業員に報酬を支払うのは職業安定法に反するのではないか」
そういった質問を経営陣から受けた場合、適切に回答するためにも、そもそも職業安定法に関する採用担当者の理解や、社内への説明、プレゼンテーションが必要となるケースがあるためです。
職業安定法第四十条と第三十六条では、次のように定められています。
労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第三十六条第二項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。
「職業安定法第四十条」より引用
労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして報酬を与えて労働者の募集に従事させようとするときは、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
② 前項の報酬の額については、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
③ 労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして報酬を与えることなく労働者の募集に従事させようとするときは、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
「職業安定法第三十六条」より引用
ただ実際、これらはリファラルによる採用をもたらした社員へのインセンティブを直接禁ずる法律はありません。
労基法第十一条に乗っ取り、「賃金等」として支払えば基本的には問題ありません。
この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
「労働基準法第十一条」より引用
またインセンティブに関しても、設定上注意が必要です。
「本業よりも紹介をメインで行った方が良いではないか」
「自分が採用広告を独自に運用をしても報酬をもらえればペイするし副業として成立するのではないか」
そのようなことを勘案させる金額を設定してしまうと、そもそも職務専念義務を乱すことにも繋がりかねません。
多くの企業では、以下のように設定しているケースが多いようです。
当社の調査によれば、リファラル採用でインセンティブを導入している企業は85%ほどです。インセンティブの金額は、1~9万円が47%、10~29万円が3%となっています。
インセンティブの設定は、採用する職種の難易度や採用単価の相場に合わせて変動する傾向にあります。例えば、エンジニアやコンサルタントの場合には、30万円もの額で設定している企業もあります。一方で、飲食のアルバイトスタッフの場合は1万円程度に設定していることも少なくありません。
『人材獲得競争時代の 戦わない採用 「リファラル採用」のすべて』より引用
そして、リファラルは「既存社員の紹介」という性質上、例えば現状離職率が非常に高い状況下でこれらの手法を導入することによって、組織として不安定化が進んでしまうといったデメリットも存在します。
実際に会社組織へリファラル導入する際は、これらの点についても総合的に加味し、認識しておく必要があります。
(6)自社サイトへの社員インタビュー記事の掲載
自社サイトへの社員インタビュー記事の掲載は、採用活動を進める上での重要な取り組みの1つです。
「購入」などがゴールとして設定されている通常の EC サイトなどにおいても「お客様の声」などを掲載することがあり、それらの情報はこれから購入や契約を検討している顧客にとって、非常に価値のある情報としてみなされ、結果見込み顧客に安心感を与えるほか、商品やサービスを選ぶときの判断基準になることがあります。
究極的には「自社サイトへの社員インタビュー記事の掲載」も、「お客様の声」に似たような作用を求職者にもたらすことが期待できる取り組みとなります。
これらのコンテンツが求職者に読まれることで、彼らの入社モチベーションが上がることはもちろん、入社後のキャリアイメージなどを持ってもらいやすくなります。
「特に優先して作成すべきインタビュー記事」とは、どのような記事なのでしょうか。
特に限られたリソースの中で制作を進める場合、帰納法的にすでに社内にいる「この人と似たような人を採用したい」と思われる人物や採用したい職種ですでに活躍している人物のインタビューを優先して作成すべきです。
例えば、広告運用者を採用したい場合は同僚となる可能性が高い他の広告運用者、直属の上司となる可能性がある CMO のようなポジションの方、特に採用したい人に近い人のインタビューは必須で、優先的に用意すべきです。
また作成した記事は作成してコンテンツとして公開しておしまいではなく、会社が有しているあらゆるチャネル(前述「採用に活用できるチャネル」など)で拡散するほか、公開後の数値の動きなどを見ておくほか、特に次の点に注意して必要に応じた改善を実施していくことをおすすめします。
- スマホで見た際に読みやすいよう適切な改行がされているか
- 早々に離脱されていないか(GA4などを用いて計測)
- どのような流入元からページに流入しているか
(7)エージェント(採用パートナー)との関係性構築
採用活動を円滑に進めていく上で欠かせないのが、エージェントおよび、自社の担当者である採用パートナーです。
しかし、そういったエージェントから紹介される求職者の方が自社にマッチしていなかったり、コミュニケーション面で課題や不満を持っているケースも、多いのではないでしょうか。
そのような場合、どのように取り組んでいくべきなのでしょうか。
「うちがお願いしているエージェントさんは、マーケティング系の人材に強い会社さんだから大丈夫」
そのように考えているケースもあるかとは思います。
しかし、しっかり自社の情報を伝えていないと、理解されないことも多いので、注意が必要です。
例えば「Web 広告代理店出身のような方を採用したい」と伝えているのに、アフィリエイトの会社で営業ばかりやっていたような人を紹介されてしまう場合、認識の齟齬が起きている可能性が高いです。
そのような場合、「自社の希望や自社が求める人材に関する情報を渡せていない可能性が高い」と認識したほうがいいでしょう。
そういった場合は、以下のような取り組みをとってみると良いかもしれません。
1.エージェントに対して自社の情報を提供する(例.定期的に資料を送付する、勉強会を実施するなど)10
2.採用に関するミーティングに同席してもらう
3.来社してもらい、雰囲気を知ってもらう
4.紹介された方の選考通過率などをデータ化し共有し課題をファクトとして認識してもらう
5.4.の課題解消に向けて必要な情報提供を求める
エージェントさんからよく求められたのは、「エージェントさんに紹介して頂いた求職者さんが一次・二次面接を通過できなかった際の理由のフィードバック」です。
この辺りの情報は、エージェントさんも拾いにくい情報だったりするので、かなり丁寧に、ひとりひとりフィードバックしていました。
そのような行動の積み重ねで関係値を築き上げていくことで、「あ、こういう人が来たらとりあえず〇〇さんのところに話を持っていこう」とエージェントさんの第一想起に入れるのです。
(8)OpenWorkをはじめ企業レビューサイトをチェックしておく
2024年2月にエン・ジャパン株式会社が公開した「社会人4500人に聞いた「転職活動時のクチコミ閲覧」実態調査」によると、OpenWork をはじめ企業レビューサイトを事前に確認したうえで面談に臨む方が、近年ではおおよそ全体の半数近くを占めているということが明らかとなっています。
職種や業界によって多少の差はあるものの、面接、採用に携わる方の多くは日ごろから自社のクチコミやレビューを目にしているケースも、多いのではないでしょうか。
自分も採用を担当していた際は、これらのサイトはよくチェックしていました。
ただ何かレビューサイトに対してリソースをかけるというよりも、面接時に「求職者がそれらのレビューを目にしていることを前提に面接に臨む」程度に活用するよう心がけていました。
また多くのクチコミサイトは、独自のガイドラインを用意し「不適切」と判断したものに関しては削除するなどの対応を行っています。例えば、 OpenWork は下記のような削除依頼に関するガイドラインを公開しています。
OpenWorkでは、下記のような場合に不適切と判断し、掲載情報を非掲載とする対応を行ないます。
・申請内容から掲載情報が明らかに投稿時の「事実と異なる」と判断できる場合
・申請内容から掲載情報が明らかに「誹謗中傷に該当する表現を含む」と判断できる場合
・その他掲載内容が公序良俗に反すると判断できる場合削除申請のご依頼内容によって、掲載情報が不適切と明確に判断できない場合には、非掲載とする処置をいたしかねるケースがございますのでご了承ください。
「お問合せ 掲載情報の削除依頼 OpenWork」より引用
もしこれらに該当するものの記載が確認された場合は、フォームより申請することをオススメします。
(9)自社の広告やマーケティング施策について一定認識しておく
広告運用者やマーケターが普段目にするメディアなどで人気の記事を見ていると、「成功事例」「ABテスト結果」などが散見されることが多々あります。
そういった背景から、例えば下記メルカリのように、市場にいる求職者の興味を誘うような施策の公開を行う事業会社も珍しくありません。
このような形で情報発信を行っていく場合、採用担当者側でも一定(外部公開可能な)自社の広告やマーケティング施策について一定認識しておく必要があります。
ただし、これらの施策は求職者の関心を誘えるというメリットもある一方、デメリットもあるため注意が必要です。
これはノウハウが潤沢にある広告代理店、事業会社の場合、特に強者(上場しており一定の情報公開義務がある場合など)の取れる手法であるということを理解しておきましょう。
通常の事業会社の場合、自社のマーケティング活動に関するコアの情報を外部に公開することはデメリットも大きいケースも多いです。
自分は一概にはおすすめしません。
(10)カジュアルな面談、職場見学会や業務体験会の実施
「実際にどんな職場なんだろう」
「どんな感じで仕事をしているんだろう」
そういった雰囲気を知りたい求職者の方は、多いのではないでしょうか。
企業の中には外部の方や求職者の方を招いて定期的に勉強会を行ったり、最初に業務委託という形で対価を支払いつつ職場の雰囲気などを知ってもらい、双方合意が取れた場合に入社してもらうといった取り組みを行っている会社も存在します。
これについては、書籍『採用広報から、スカウト文章、面接術まで 「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』の「ITエンジニアを採用するなら?」にて、次のような解説がなされています。
社員として採用しようとしても、スキルが高いエンジニアほどなかなかうまくいきません。一般的に、エンジニアは1つの会社で社員として働くよりも、業務委託や副業でかかわりたいと思っている人が多いからです。そのため、社内で検討したうえでOKであれば、業務委託などの形で働いてもらう方向でも考えてみましょう。
『採用広報から、スカウト文章、面接術まで 「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』より引用
ITエンジニア同様、優秀な広告運用者も前述したデータなどからもわかる通り採用が難しい職種の1つです。
そのため、広告運用者などのような、はじめから正社員としての働いてもらうことが難しい職種の方の場合、業務委託や副業などといった形で募集し、ある程度の期間働いてもらった上で自社に合う方に正社員として働いてもらう方向で調整してもらうといった形でお仕事をお願いするというのも1つの手です。
私も前職では、マーケティングチームのメンバーに最初は業務委託で入ってもらい、お互い納得できた場合にのみ正式入社いただく方法も利用しました。
お互いに能力を見誤った形で仕事をし始めるとなると、不幸になりがちです。また面接などの場で、短時間ですべての情報を共有しあい、お互いに納得し合い仕事をすることが困難です。
そういった事態を避けるためにも、必要に応じて採用手段の1つとして実施してみても良いかもしれませんね。
(11)社外の知見を頼る(勉強会やエージェントへの質問、ビザスクなど)
自社だけで独自に採用活動を考え続けていても、どこかで施策が頭打ちになってしまったり、成果が出ない状況が続くと担当者にだけ負荷がかかる状態となってしまう可能性があります。
そういった際には、下記3つの取り組みの実施を検討してみるのはいかがでしょうか。
- 採用担当者向けの勉強会やイベントに足を運ぶ
- 自社が利用している採用媒体の担当者に、採用に関するトレンドや他社の取り組み、成功パターンを尋ねる
- ビザスクなどの情報取得ツールを用いて経験豊富な採用担当者に壁打ちをお願いする
特にビザスクなどの情報収集サービスを使うことで、短時間で得たいノウハウなどを収集することもできるためオススメです。
ビザスク – 業界業務の経験豊富な「その道のプロ」に、ピンポイントに相談できる日本最大級のスポットコンサル
https://visasq.co.jp/
サービス利用料として1回あたり〜5万円前後の費用がかかってしまう一方、スポットで採用コンサルとして活用できその場で悩みを解消できる可能性があるほか、お金を支払うことにより質問者側も遠慮なく、そして採用担当者側の心理としても「お金を支払っている以上、集中して質問しなければ…」といった作用も働きやすいため、トータルで考えると決して悪い投資ではないのではないでしょうか。
実際に事業会社でマーケターや広告運用者を採用していたり、広告代理店で広告運用者を採用していたような人から直接お話を聞くことができるのでおすすめです。
ただヒアリング前には入念に聞きたいことをリストアップし、準備してから望まれることをお勧めします。
(12)運用型媒体を用いて求人する
前述した通り、採用チャネルには様々なものがあり、求人媒体には様々なものが存在します。
求人媒体 | エージェント | その他の打ち手 |
---|---|---|
広告型媒体 | 一般紹介・登録型 | リファラル採用 |
運用型媒体 | サーチ型 | SNS採用 |
スカウト型媒体 | 紹介予約派遣 | イベント開催 |
求人誌 | ハローワーク | 広告出稿 |
細かい数を見ていくと日本国内のみで人材紹介会社は2.5万社ほど存在し、求人媒体も300種類以上存在しています。11
「広告運用者にリーチする上で、どれをおさえておけばいいのか…」
結論から申し上げると、中途で広告運用者を採用する場合は「求人媒体」の中でも特に「運用型媒体」の利用をおすすめします。
運用型媒体とは、企業自らが募集文を書いたり更新をしたりすることで、求職者にみてもらい、応募を集めることができる求人媒体であり、代表的なものとしては、次のようなものがあげられます。12
- Green
- indeed
- Wantedly
- 求人ボックス
おすすめする理由ですが、次のとおりです。
- 特に Green などは優秀な広告運用者を採用できることが多い媒体であるため(前述)
- 広告型媒体(例.リクナビNEXT、doda、type、エン転職 etc)に比べ、掲載費用を抑えて利用することができる
先ほどもおすすめした Green は運用型媒体ですね。
媒体ごとに色も旬もあるので、どの媒体からきた人が採用につながっているのか、活躍しているのかなどは把握しておき、採用戦略を考える上で活用していきましょう。
(13)広告運用者が多く属している環境を確認し導入可能なものを提案、導入する
大前提として、「優秀な広告運用者が多く属している環境はどのような環境か」という点については、理解・認識しておく必要があります。
環境を大きく変えてまで転職しようとする人は少ないわけではありませんが、事業ややりがいだけでは優秀な人を集めることが難しいというのも事実です。
以下は自分が実際に前職などで会社に提案、導入し、採用に有効だったものになります。
・副業の許可
・フレックス制度、リモート制度
・書籍購入補助制度
「何か特別なものを」というよりも、他社と比較して自社に足りないものを足していく形で導入を提案したりしていくと良いでしょう。
最後に
本記事の中では13つのポイントについて解説してきました。いずれのポイントにも通ずるものでもありますが、これらの多くは単純に実装するだけでは意味がなく、実施した上で継続し続けることで真価を発揮するという点についても留意し、取り組む必要があります。
当たり前のことではあるのですが、同じことを繰り返すことも、少しずつ変化にあわせて新しい取り組みを行うことも、とても大変なんですが、でもすごく大切なことなんです。例えば…
・リファラルの重要性を社内に伝える
・入社者へのヒアリング
・定期的な採用イベントの開催やコンテンツ制作
これらを続けるだけでも、結構大変なことです。
ただそういった取り組みを止めてしまうと、一気に企業の採用力は低下します。そういったことがないように、仕組み化など工夫することを心がけましょう。
また採用人数が増えてきて人力のみでの採用に限界を感じるケースが増えてきた場合は、ATS(採用管理システム)の導入などをご検討ください。
参考情報
参考文献
『時間とお金をかけずに欲しい人材を集める「SNS採用」』
『これで採用はうまくいく ほしい人材を集める・見抜く・口説くための技術』
『人が集まる中小企業の経営者が実践している、すごい戦略 採用ブランディング 新版』
『採用に強い会社は何をしているか』
『採用広報から、スカウト文章、面接術まで 「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』
『人材獲得競争時代の 戦わない採用 「リファラル採用」のすべて』
『社長の言葉はなぜ届かないのか? 経営者のための情報発信入門』
『強いSEO “SEOおたく”が1000のサイトを検証してわかった成果を上げるルール』
執筆者情報
企画・執筆・編集:川手 遼一
制作アドバイス:秋山 侑太朗
脚注
- 『強いSEO “SEOおたく”が1000のサイトを検証してわかった成果を上げるルール』にて次のように記述。”採用活動をする際、求人サイトへ出稿する企業は多いでしょう。求人サイトによっては、求職者が企業について詳しく理解できるように、コーポレートサイトへのリンクを掲載してくれるサイトも多いです。notollow 属性が付与されることもあるため、すべてのリンクが100%の効果をもたらすとは言い切れませんが、一つ言えるのは「ないよりは、あったほうがよい」ということです。” ↩︎
- 『社長の言葉はなぜ届かないのか? 経営者のための情報発信入門』にて、一貫してnoteとSNS(X)の使用を推奨。noteを推奨する理由は次の4つ。1.読みやすい&書きやすい、2.オフィシャル感が排除されている、3.note.comのドメインの強さ、4.Xはnoteへの誘導、動線(コンテンツビークル)として使用。またnoteを使用しない場合は、Wantedlyのストーリー、LinkedIn、もしくはXに長文コンテンツとして投稿。 ↩︎
- 『人が集まる中小企業の経営者が実践している、すごい戦略 採用ブランディング 新版』にて次のように記述。”「たくさん人がいればいい人が見つかるだろう」という発想は、実に運任せな手法です。例えば採用イベントに参加して、そこに「いい人」がいればいいのですが、見つけられなかった場合は数十万円を捨てたのと同じことになります。「いい人が現れたらいいな」という待ちの採用はこの繰り返し。費用対効果は低いのに、依然として主流のままです。” ↩︎
- 『時間とお金をかけずに欲しい人材を集める「SNS採用」』にて次のように記述。”近年注目を集めているのが、既存の社員のネットワークを利用したリファーラル採用です。リファーラルという言葉には推薦や紹介といった意味があります。リファーラル採用とはつまり、「社員による紹介採用」です。” ↩︎
- 『人材獲得競争時代の 戦わない採用 「リファラル採用」のすべて』にて次のように記述。”リファラル採用とは、「リファラル(紹介、推薦)」「メリクルーティング(採用)」の造語です。信頼できる友人・知人からの紹介を通じた採用手法が、リファラル採用の定義といえます。2012年以降、米国においては最も人材獲得数が多い採用チャネルとなっています。企業の80%がリファラル採用の制度を導入して、実践しているのです。” ↩︎
- 『これで採用はうまくいく ほしい人材を集める・見抜く・口説くための技術』にて次のように記述。”リファラル採用はよく「人の繋がりを活かした採用=縁故採用」と勘違いされますが、全く似て非なるものです。あくまで紹介はエントリー方法の一つで、エントリー後は通常通り選考を実施することが前提です。ただ、「類は友を呼ぶ」の通り、自社に紹介できる友人であれば、紹介者である社員・内定者と考え方や価値観が似ており、よりカルチャーがフィットしている人材に会える可能性が高いため、結果的に合格率が高くなる、というのもリファラル採用の特徴です。” ↩︎
- 『採用に強い会社は何をしているか』にて次のように記述。”リファラル採用とは、「従業員からの紹介」による採用のことで、「選考通過率が高い」「採用コストを抑えられる」などの理由で” ↩︎
- 『採用に強い会社は何をしているか』にて次のように記述。”リファラル採用とは…(中略)…近年急速に広まった手法です。” ↩︎
- 『人材獲得競争時代の 戦わない採用 「リファラル採用」のすべて』にて次のように記述。”リファラル採用とは、「リファラル(紹介、推薦)」「メリクルーティング(採用)」の造語です。信頼できる友人・知人からの紹介を通じた採用手法が、リファラル採用の定義といえます。2012年以降、米国においては最も人材獲得数が多い採用チャネルとなっています。企業の80%がリファラル採用の制度を導入して、実践しているのです。” ↩︎
- 『採用広報から、スカウト文章、面接術まで 「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』にて次のように記述。”エージェントが求職者に説明できるコンテンツを増やす” ↩︎
- 『採用広報から、スカウト文章、面接術まで 「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』にて次のように記述。”ただ人材紹介会社だけでも日本に2.5万社ほどあり、求人媒体も300種類以上もある中で、そもそもどの人材紹介会社や求人媒体を使って採用すればいいのかを知りたいというニーズも出てきました。” ↩︎
- 『採用広報から、スカウト文章、面接術まで 「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』にて次のように記述。”一方、運用型は企業自らが募集文を書いたり更新をしたりすることで、求職者にみてもらい、応募を集めるものです。例えば Wantedly、Greenなどです。” ↩︎